道南うみ街信用金庫・藤谷直久理事長インタビュー

金融

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 ――合併によって見えてきた課題は何でしょうか。
 
 藤谷 課題は人材育成でまだまだ強化しなければならない。旧江差と旧函館では、渉外力の差が見えてきましたし、様々な人材教育の場を考えていかなければいけません。支店長の異動は、2年目、3年目から積極的にやります。1年目は不慣れなこともあって入れ替えると大変なので控えました。来年度は双方の交流を見据えて1本化を徐々に進めたい。

 ――金庫同士の合併がうまく進むには職員同士の融和が大事ですね。特に気をつけていることはありますか。
 
 藤谷 当たり前のことですが、何事も平等な目で対応することです。例えば旧江差は、この3~4年で全部の支店を建て替えました。旧函館はこれから。そこからまずスタートします。それから労務環境も整備しなければならない。人も若干少ないので、10人体制を12人体制にしたい。本部も2つ(江差と函館)置いていますので、そこもいずれは集約していかなければなりません。
 
 ――北海道新幹線の開業から1年が経ちましたが、開業効果は予想と比べて如何ですか。

 藤谷 新幹線開業によって、函館地区は間違いなく観光産業が潤うと思っていましたが、ホテルの利用客がこんなに増えるとは驚きでした。ただそれも函館周辺までで、江差町などは開業格差のような状況が出ています。万遍なく行き渡るようにしなければならない。地域の魅力を磨くために行政とタイアップして様々に検討していかなければならないと思っています。
 
 ――新金庫の預貸率は47%程度と言われましたが、将来的な預金の伸びをどう見ていますか。
 
 藤谷 相続人が地区外にいますと、大口預金者が亡くなった場合は預金も移動します、ただ、預金量は一旦落ちてもまた伸びてくるものなのです。先々、団塊の世代が亡くなるようになった場合はどうなるのか、今後は考えなければいけないと思いますね。預金が東京なり関東に移動しても全国的に減る訳ではない。移動した預金を何らかの形でバックする方法も考えていかなければいけない。それこそまさに地域の魅力を発信することです。都会に住むことに疲れた人もいるでしょうから、自然も食材も豊富なことをアピールして移住促進に力を入れることも大切ですね。

 ――余資運用の環境は良くないですが、余資運用がなければ金融機関も成り立たないような状況です。新金庫はどんなスタンスですか。
 
 藤谷 マイナス金利になる前は、ローリスク・ローリターンが余資運用の考え方でした。リスクが怖いので国債中心でしたが、今はそうもいきません。国債の他、ある程度はリスクテイクをしています。株の運用はしていませんが、公社債などで運用しています。マイナス金利が続く限り、国債1本での運用は無理なので小分けに分散して運用していきます。余資運用をしなくてもいい時代がくれば良いですが、地域から預金を集めても地域に還元する先が少ないというのは大きな悩みです。

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