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 ――マイナス金利政策の出口が軟着陸になるとは限りません。東京オリパラ後には厳しい経済が待ち受けていることはありませんか。

 吉本 マイナス金利政策が軟着陸すれば良いですが、本当に軟着陸できるのかどうか。厳しい局面が来るかもしれないという覚悟はしておかないといけない。幸い我々3金庫は、合併により単独金庫では難しい重複業務の効率化や店舗統廃合等による物件費の削減が可能になってくることから、厳しい環境に対応していけると考えています。マイナス金利政策まで先見性をもって合併を決定したわけではありませんが、今回の決定は時宜を得たものだと考えています。
 
 ――吉本会長自身の金庫人生から得た経営の教訓はどんなものでしょうか。

 吉本 私が理事長に就任した08年には100年に一度の金融危機といわれたリーマンショックが襲い、いきなり難しい舵取りを余儀なくされました。また、現在も日本の金融政策史上初めてとなるマイナス金利政策という厳しい金融環境。当金庫の95年の足跡を振り返ると、いつの時代にも困難な事態があり、先人たちは苦闘し苦悩しつつもそれを乗り越え、地域社会と当金庫を守り発展させてきました。それを考えると「安楽な時代など一度たりともない」ということを肝に銘じなければなりません。あらためて地域経済活性化のため、「アワーズしんきんバンク」実現のために頑張りたい。
 
 ――「アワーズしんきんバンク」に込めた想いや願いは何でしょう。

 吉本 「アワーズしんきんバンク」の実現は、08年から当金庫が掲げているメーンテーマです。人口減少、少子高齢化などで地域社会や市場が縮む中で金融機関の競争は一層熾烈化していきます。今後とも「勝ち残っていくため」(私は生き残りという言葉は使いません)には、取引いただいたお客様に継続して取引をいただく仕組みづくりが必要。お客様から「私の金融機関、マイしんきんバンク」と言われるのではなく、「我々の金融機関、アワーズしんきんバンク」と言われる金庫にならなければならない。
 お客様を「囲い込む」のではなく、お客様から「囲い込まれる」、お客様同士で紹介いただけるような「魅力ある」、「頼りがいのある」金融機関を実現していかなければならない。当金庫を利用するお客様が「カスタマー」から「サポーター」へ、そして最後は当金庫の「パートナー」になっていただきたいということです。
 
 ――最後に座右の銘を聞かせてください。

 吉本 理事長のころからよく言っているのですが、「もともとゼロの発想」と「言い訳、弱音、愚痴を言うな」です。「もともとゼロの発想」とは、例えば自分が何か新しいことをやろうとした場合、過去に何もなければ失敗しても元に戻るだけ。思い切って挑戦すればよい。営業担当の新規開拓もそう。恐れず飛び込んで新規開拓をして失敗しても元に戻るだけ。うまく響き合う心があって取引に繋がっていけばプラスになっていく。「言い訳、弱音、愚痴を言うな」はその言葉通りです。言い訳を先に考えながら行動せず弱みをはかず、愚痴を言わず目標に向かって頑張ろうと。
                                                    (終わり)
※2016年9月12日記事一部訂正いたしました。



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