札幌証券取引所は29日、札証に上場している雪印メグミルク(本社・東京都新宿区)と日本テクノ・ラボ(東京都千代田区)の個人投資家向け会社説明会(札証IR)を開催した。雪印メグミルクの世古康取締専務執行役員は、「円安の影響で原材料価格が上昇、アベノミクスの影の部分が下期から出ている」と現在進めている中期経営計画を見直すことを明らかにした。個人投資家など約80人が出席した。(写真左は雪印メグミルクの世古康取締役、右は日本テクノ・ラボの鈴木孝男管理部部長)
雪印メグミルクは国内産の生乳のほかに植物油や果汁、輸入チーズなど輸入原材料を多く使用している。安倍首相の経済政策『アベノミクス』によって円安が25%進んだことでこうした輸入原材料の価格がアップ、通期では20億円の減益を見通している。
世古氏は、「上期までは昨年中に輸入した原材料を使っていたためそれほどの影響はなかったが、下期からは円安になってからの輸入。そろそろ価格転嫁をしなければならない時期だ」と語り、量販店向け値上げ交渉のタイミングを探っていることを明らかにした。
来年度は消費増税も控えていることから、駆け込み需要とその反動が年度当初には出てくることが予想されている。「アベノミクスの光を受けている企業では政府が賃上げ要請で家計を潤すことを狙っているため、我々はそれを見守りたい」としながら、「商品開発努力を続けながら販売が落ち込まないような値上げを検討したい」と語った。
また、2009年度から14年度までの中期経営計画について、「円安という経営環境の変化は当社の大きな悩み。現在の中期計画は来年度が最終年度だが、1年前倒しして新たな中期計画の策定を検討している」と述べた。
続いて日本テクノ・ラボの鈴木孝男管理部部長が「従業員42人のうち開発部門は30人。プリンタコントローラ事業、ストレージソリューション事業、情報セキュリティ事業のほかに2つか3つの事業を構築していく。その一つはスマホのあらたなアプリケーションソフトになるだろう」と説明した。