札幌証券取引所は18日、札証に上場しているクワザワと雪印メグミルクの個人投資家向けIRセミナーを開催した。一般の個人投資家約90人が出席、クワザワの桑澤嘉英社長と雪印メグミルクの世古康取締役専務執行役員がそれぞれ45分間に亘って業績見通しや設備投資動向などを説明した。札証は、こうした個人投資家向けIRセミナーを定期的に開催しているが、今回の2社で14社目。昨年1年間で実施したのは17社だったため、ほぼ半年間で昨年並みのIRを実施したことになる。札証の活発な展開は、道内の個人投資家掘り起こしにひと役買っているようだ。(写真は、桑澤嘉英社長=左と世古康取締役専務執行役員)
 
クワザワの桑澤社長は、2012年3月期がリーマンショックの落ち込みから回復してきたことを報告、東北の復興需要による住宅建設や節電に伴う太陽光発電のニーズが底固く推移しており、今期も連結売上高が860億円、営業利益8億5000万円と好調さを維持すると説明した。
 
 財務体質改善の一環として金融債務の縮小を計画的に進めており、「金融債務と現預金の差は11年3月期で16億9200万円だったが前期は9億3900万円。このペースで行けば数年間で無借金経営になる」と語った。
 
 内装工事では、東京のパレスホテルの工事の半分を手がけ、東京駅前にある中央郵便局のオフィスタワー部分の内装工事も4億円強で受注した実績も紹介。また、セメントでは道内で2割のシェアを持ち、生コンでも道内需要の4分の1の販売実績があるとして、「北海道新幹線の札幌延伸は大きなビジネスチャンスだ。全長211㌔のうち160㌔がトンネル。生コンや土木資材が多用され、当社の業績にとっても追い風になる」と期待感を示した。
 
 さらに累計で1万件の実績があるリフォームについても、バス、トイレ、キッチンなど大きく伸ばしていく戦略を語った。
 
 続いて雪印メグミルクの世古氏が中期経営計画で2014年度に連結売上高5500億円、営業利益200億円を目指していることを説明。「牛乳消費が右肩下がりの中で、機能性乳飲料やヨーグルト、さけるチーズなど競争優位の商品を伸ばしていく戦略設備投資に800億円を投じる」と語り、北海道の大樹工場に68億円を投じたさけるチーズの新工場を今月から稼動させ、海老名工場(神奈川県)では152億円を投じてヒト由来の乳酸菌であるガゼリ菌SPを使ったヨーグルト生産能力拡大、茨城県阿見町には275億円を投資して新工場を建設中で2014年度下期から操業を開始することも明らかにした。
 
 また、同社は道内ではよつ葉乳業と提携、道外では協同乳業グループと提携しているが、「よつ葉とは物流面で大きな仕掛けを作っていく。また、牛乳用のパックなどについても共同で仕入れることによってコストダウンにつなげていく。協同乳業グループとは資本提携も視野に入れており営業も共同で手がけたい」と結んだ。
 
 参加者からは、雪印メグミルクの戦略設備投資でキャッシュフローがどう推移するかを問う質問も出るなど関心の高さを窺わせた。


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