DSC_3293 札幌証券取引所は25日、武田薬品工業の個人投資家向け会社説明会(札証IR)を開催、約80人が参加し同社の圭室(たまむろ)俊雄コーポレート・コミュニケーション部IR担当主席部員の説明に聞き入った。圭室氏は癌領域を強化するために買収した米国ミレニアム社と新興国事業強化のために買収したスイスのナイコメッド社は「時間を買う投資として成功だった」などと説明した。(写真は、札証IRで説明する圭室俊雄氏)
 
 圭室氏は、武田薬品には癌領域への進出と成長著しい新興国市場への進出という2つの課題があったとして、2008年のミレニアム社、11年のナイコメッド社の大型買収は「チャレンジングな取り組みだった」と述べた。とりわけ新興国に強いナイコメッド社の買収によって、新興国市場はこれまでの28ヵ国から70ヵ国に拡大、売上げシェアも2%から「ウエートは高まってきている」とした。
 
 こうした大型買収によって従業員数は1万人から3万人に一気に拡大、同社にとって日本人はメジャーな存在ではなくなっていると強調、その象徴として「CFO(最高財務責任者)はフランス人だ」と紹介した。
 
 また今年5月に策定した13~17年度の中期成長戦略について語り、イノベーション、グローバリゼーション、ダイバーシティ(多様性)をキーワードに売上高を年平均一桁台半ばの成長、営業利益を年平均20%以上の成長、1株当たり配当金は年間180円を維持すると述べた。
 
 研究開発の拠点として湘南研究所がグローバルな司令塔の役割を果たしていると説明、「その所長は米国人だが日本に帰化して日本名になっている。ある雑誌で所長が顔写真付きで紹介された時には証券会社から『名前が間違っている』と指摘された」とエピソードも紹介し会場の笑いを誘っていた。
 
 圭室氏の説明後には会場から「円安の業績に与える影響は?」、「買収前に赤字だったナイコメッド社は利益が出ているのか?」、「自己資本比率は高いが無形固定資産の伸びによるものではないのか?」、「キャッシュフローが赤字になっているが?」といった質問が出て、圭室氏は「1ドル99円の設定をしているが1円の円安で38億円、営業利益で7億円の影響が出る」と答え、ナイコメッド社については「当初想定通りに来ている」と述べるにとどめた。


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