北海道産石炭を利用した北海道電力砂川火力発電所(砂川市豊沼町)4号機の中間点検が最終段階を迎えている。4年に一度実施する定期点検の中間に行う点検だが、泊原発停止でフル稼働を続けていたため1年間繰り延べ、3年ぶりの点検となった。通常の中間点検に加えて大がかりな補修工事も実施、ボイラー内配管の取り換えや配管を保護するプロテクターも交換するなど工期は従来の中間点検に比べ倍以上の78日間をかけている。(写真左は交換した第一蒸発器管のコーナー部分の配管、写真右は中間点検中の4号機タービン発電機)
国道12号線にある奈井江町の道の駅から2㎞北上し、砂川市に入るとすぐに高さ100mを超える2本の煙突が見えてくる。ここが北電の砂川発電所だ。戦前の1940年に建設が始まったが、資材不足などで一時中断。戦後の49年から建設が再開され出力2万7000kwで発電を開始したのは51年から。
その後、増設やスクラップ&ビルドによって現在は36年前から稼働した3号機(出力12万5000kw)と31年前からの4号機(同)がある。国内の石炭火力発電所としては最小規模で国内で最北の火力発電所でもある。
原料となる石炭は道内炭を使用しているが、ここでは北海道炭礦汽船、空知炭礦、KCMエンジニアリングの3社から1日あたりダンプ400台で搬送される石炭を受けて入れている。ちなみに北電の石炭火力発電所で国内炭を使用しているのはここ砂川と奈井江の2ヵ所だ。
中間点検を実施しているのは4号機。法令に基づくボイラー、タービン設備の定期事業者検査(定検)は4年に1度実施しているが、2年目には自主的に中間点検を行うのが通例。しかし、泊原発の停止によって電力供給を確保するため4号機は昨年予定されていた中間点検を1年間繰り延べ、8月7日から稼働を停止して点検に入った。火力発電所では石炭を摂氏1200度で燃やして水を高温高圧の蒸気にするためボイラー配管の劣化や摩耗は避けられない。「3年間の連続稼働によって設備への影響もみられるので大規模補修工事も行っている」(宮脇徹所長)
その一つが第1蒸発器管と呼ばれるボイラーをグルグルと巻いている配管の取り換え。4つのコーナー部分は摂氏541度の蒸気が通るため特に熱のストレス負荷が強く、5㎝の太さがある1mの配管を7m分、470本使って4つのコーナー部分を取り換えた。この部分は31年目にして初めて交換したという。
また、42枚のパネル状配管で構成されている最終再熱器管も取り換えた。再熱器管が灰によって摩耗するのを防ぐプロテクターの損傷も通常2年では10%程度の摩耗だが3年の連続稼働によって摩耗は15%程度まで進行していることが分かり、こちらも取り換えを済ませた。
今回の中間点検の進捗率は約60%で、これまでに1日平均約240人、延べ9500人が24時間で点検・補修を担ってきた。中間点検は試運転などを経て10月23日に終了、その後稼動に入る予定。
北電の火力発電所は、泊原発停止もあってフル稼働を続けている。実際に発電をするタービン部分よりも石炭や石油を燃焼させるボイラー部分でのトラブルが多く発生しているのが実情だ。砂川発電所でも2010年と11年にボイラー配管の故障が見つかった事実もある。定期点検は法令に基づく点検のため欠かすことができないが、中間点検は自主的なものだけに電力需給状況や投資のタイミングで後ずれしてきているのが実態。
砂川発電所の3号機も本来なら今年が中間点検の実施年だったが、4号機が1年ずれたため3号機も来年度以降に中間点検が延びる見通しだ。「今回の4号機点検で、3年間連続運転による設備機器への影響を検証していきたい」(同)としており、砂川発電所の知見を他の火力発電所の点検にも利用していく考えだ。