愛犬に無添加のおやつを食べさせたいという思いから、起業して10年、SIZUKA(シズカ、千歳市)が、千歳市清流2丁目3-3に、新工場「SIZUKA+」を稼働させた。事務所とショップを併設し、工場直売のおやつも揃え、犬や猫を飼う人たちの新たな人気スポットになりつつある。社長を務める山田りみさんは、北海道産、無添加にこだわり、手作りを基本に丁寧なものづくりを追求する。山田さんに、SIZUKAが目指す企業像などについて聞いた。(写真は、SIZUKA・山田りみ代表取締役)
――起業のいきさつは。
山田 夫がドッグトレーナーで、札幌市内で犬を預かるなどペットホテルの運営をしていますが、10年ほど前からそこに泊まる犬の飼い主さんたちから、無添加のおやつを愛犬に食べさせたいという要望が増えていました。私も、犬を飼っていたので、ちょうど無添加の食べものを探しているところでした。札幌市内のお肉屋さんで、犬用の無添加おやつを作っているところがあると知り、そこへ通っているうちに、そこで働いている方と意気投合し、「犬用の無添加のおやつを一緒に作りましょう」と起業しました。私は、千歳に住んでいるので、千歳で作業ができる物件を見つけて、「SIZUKA」を立ち上げたのが、2013年のことです。
ーー愛犬に食べさせたいということが、会社設立の動機だったと。
山田 うちの犬に安心できるものを食べさせたかったですし、夫の会社でお世話をしている犬たちにも食べてもらいたいという思いがありました。どうせならと、エゾシカや鮭といった道産の食材を生かした無添加のおやつを作って、差別化することにしました。
ーー最初は、千歳市内の別の場所に工場があったのですね。
山田 そうです。ゼロからの出発だったので、千歳のお寿司屋さんのネタの仕込み場だった中古物件を使って、スタートしました。おかげさまで10年の間に、売り上げもかなり伸び、今は、年商1億円に届くところまできています。
ーーその物件が手狭になって、今回、移転拡張された。
山田 千歳市から清流2丁目の約1000坪の土地を購入、約300坪を使って、工場兼事務所兼ショップを2024年11月に、オープンさせました。従業員は、そんなに増えてはいませんが、以前は、すれ違うのもやっとというほど狭かったので、作業効率は大幅に改善されました。今は、パートさんを含めて、スタッフは17人、全員女性で運営をしています。移転オープンの際には、千歳市内の方はもちろん、帯広、小樽、旭川など、遠方から来られる方がとても多かった。中には、出張で札幌に来られた道外の方が、帰りに寄られたり、苫小牧までフェリーで来た方が、車に愛犬を乗せて来店されたりするなど、無添加のおやつということに、大きな反響があることに驚きました。今回のショップには、ペット用の洋服やリード、首輪、ケア用品(歯ブラシ、歯磨き粉)などのほか、飼い主さん向けの雑貨なども揃えています。
ーー新工場の投資額は。
山田 建屋を含めて1億円を超えています。土地に関しては、2年以上前から千歳市と交渉してきました。