社会問題にもなっている中古住宅の空き物件。それをリノベーションして、入居費を抑えたサービス付き高齢者向け住宅、住宅型老人ホームに転換、その運営を中心に、生活に関わる事業を多角的に展開しているワンダーストレージホールディングス(本社・札幌市白石区)が、船井総研ホールディングス(同・大阪市中央区)主催、船井総合研究所(同・同)運営の「サステナグロースカンパニーアワード2024」の「社会貢献インパクト賞」を受賞した。(写真は、2024年8月20日に開催された「サステナグロースカンパニーアワード2024」の「社会貢献インパクト賞」を受賞し、記念の盾を受け取るワンダーストレージホールディングスの佐藤肇祐代表取締役兼グループCEO=右、ワンダーストレージホールディングス提供)
「サステナグロースカンパニーアワード」は、持続的な成長を実現したうえで、地域や業界に革新をもたらし、社会や国家により良い影響を与える企業を選定、表彰するもので、2024年度は、全国1万1800社が選考対象となり、大賞(物語コーポレーション)やM&A/事業承継部門(ウェルビーイング)、IPO部門(GENDA)など11の賞に分かれ、ワンダーストレージHDは、社会貢献インパクト賞を受賞した。
ワンダーストレージHDは、2011年5月の設立。社会問題になっている中古の空き家や使われなくなったホテル、学生寮などをサ高住や住宅型老人ホームに転換、低廉な入居費で、低年金者や生活保護者にも住む場所を提供している。最近は、新築の住宅型老人ホームを手掛けるケースが多くなっているが、いずれも価格を抑え、入居者の満足度を高める取り組みを積極的に推進。HDのグループ内で給食サービスや介護、医療のサポート体制を構築している。2年前からは、デイサービス事業も開始し、入居者に選んでもらえるサービスの展開を行っている。
現在は、高齢者向け住宅を27棟展開し、入居者は、1100人を超える。障害者のグループホームも同様のスキームで11棟展開し、約150人が入居している。入居している障害者をグループで雇用するなど、就労支援事業も行っている。設立から13期目の2024年4月期決算は、年商約30億円、営業利益率7・5%と有料老人ホームの業界では、コストリーダシップの地位を確立。コロナ禍を経ても、年平均成長率10%を維持する成長を続けている。こうした点が評価されて、今回の「社会貢献インパクト賞」に繋がった。
ワンダーストレージHDの佐藤肇祐代表取締役兼グループCEO(44)は、「民間のセーフティネットとして、他社ができないような社会インフラの構築を進めてきた。今回の賞により自分たちが展開してきた事業が、客観的に評価されたことは、社員の自信につながったのではないかと思う。この賞を契機に、優秀な人材獲得を進めたい」と話した。低所得の高齢者や障害者、重度の障害を持つ子どもたちが、安心して暮らせるシステムをつくることで事業を成長させていく考えで、2034年に年商100億円、営業利益率8%、退職率10%未満、従業員が保有する自社株の配当性向15%という数値目標を掲げ、「100年続く企業を目指す」(佐藤氏)としている。