北海道の老舗農産加工メーカー「クレードル興農」、コープさっぽろが第2会社方式で承継

経済総合

 1932年操業の北海道の老舗農産加工メーカー、クレードル興農(本社・札幌市中央区)が自力再建を断念、コープさっぽろ(本部・同市西区)が事業を承継することになった。従業員155人の雇用を確保するとともに、契約農家やJAからの農産物調達を継続する。コープさっぽろは新会社を設立、2023年10月末に事業の譲渡を受ける。(写真は、札幌市中央区にあるクレードル興農本社)

 クレードル興農は、91年前に喜茂別町のアスパラガス生産者が「農民のための農民の工場を」の理念を掲げて、朝日アスパラガス缶詰として創業。商標は、アスパラガスの揺り篭の地という意味で、英語で揺り篭を意味する「クレードル」とし、戦後の北海道農産工業協同を経て、クレードル興農に商号を変更した。

 社業は順調だったものの、2018年頃の長雨、台風の影響でアスパラガスやスイートコーンの不作、収穫難が続き、5期連続の赤字を計上、債務超過に陥っていた。メインバンクは農林中央金庫で、自力再建を模索したが断念、今年春先から事業売却先を探していた。2022年12月期の売上高は14億3900万円。

 コープさっぽろは、クレードル興農が手掛けるレトルト食品や冷凍食品の市場性に着目するとともに、農家やJAの関係拡大を図る目的から事業を承継することにした。コープさっぽろが、アイスクリーム製造・販売のさくら食品(本社・小樽市)の事業承継で採用した、第2会社方式のスキームを利用する。具体的には、コープトレーディングが新会社「クレードル興農」を設立、存続事業の負債を含めた譲渡を受け、過剰債務を抱えた旧会社「クレードル興農」は清算する。

 缶詰生産の喜茂別工場(虻田郡喜茂別町)とレトルト・冷凍食品を生産している伊達工場(伊達市)を引き継ぎ、それぞれ50人、90人のほか本社15人の全従業員の雇用を継続する。販売先はこれまで、道外は東急百貨店、道内はホクレンを中心にしていたが、承継後はコープさっぽろが道外の全国生協向けなどに販売、道内は既存販売先とコープさっぽろの店舗向けに出荷する。
 新会社「クレードル興農」は資本金100万円で設立し、その後増資を行っていく。役員構成は今後詰めるが、現社長の鈴木基氏は旧会社の清算業務を終えた後、新会社に異動する予定。

(画像は、クレードル興農の代表的商品)

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