高級食パンブームが失速する中で、札幌市豊平区西岡3条5丁目5-1の商業施設ビバパーク西岡にあった「わがままなジュリエット」が、10月31日で閉店した。オープンから1年5ヵ月、系列の「乃木坂な妻たち」に統合、戦線を縮小して美味しさの向上を目指す。(写真は、「わがままなジュリエット」のプレオープン時)

「わがままなジュリエット」は、ベーカリープロデューサー、岸本拓也さんがプロデュースしたパン専門店。高級食パンと複数のベーカリーアイテムを揃えた店舗で、2021年5月に空き物件を利用して出店した。

 コンセプトは、2019年1月に札幌・桑園地区で先行して開店した高級食パン専門店「乃木坂な妻たち札幌桑園本店」のビジュアルに描かれている5人の妻たちの1人、ジュリエットさんが、「もっとたくさんのパンを食べたい」というわがままによって誕生したというもの。

 高級食パンのほか、カレーパン、メロンパン、クリームパン、塩パン、あんぱんなどの菓子パンと各種の惣菜パンを品揃えした。運営は、「乃木坂な妻たち札幌桑園本店」を展開しているブリス・デリ&マーケティング(本社・東京都新宿区)。オープン当初は賑わいがあったものの徐々に客数が減少、高級食パンのブームに陰りがでてきたことや原料値上げの影響もあって、経営の合理化が不可欠となり、閉店を決めた。

「わがままなジュリエット」は、同社と岸本さんが組んで札幌で2018年6月に始めた、コッペパン専門店「でぶぱん」(札幌・麻生地区)を2022年6月に統合していたが、今回は「わがままなジュリエット」も含めて「乃木坂な妻たち」に統合される。

 高級食パンを扱う専門店は全国的に陰りが見えており、北海道でも2021年10月に「ル・ミトロン札幌円山店」(札幌市中央区)、2022年4月に「あの人はナルシスト」(釧路郡釧路町、帯広の『大地はドラムと優しい麦 釧路店』として承継)、同年9月に「ベーカリー・ワンカラット」(同市南区)が閉店している。急速に膨らんだ高級食パン市場が縮小に向かいつつある中で、今後も閉店・統合は続きそう。需要と供給の均衡点は、まだ見えていないようだ。



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