パンの「HOKUO」復活、札幌・地下鉄琴似駅近くに新店舗きょうオープン

経済総合

 創業43年目で今年3月に一旦は閉店した「HOKUO」パンが、きょう6月30日に店舗を再開する。札幌市民に親しまれてきた「HOKUO」のパンが再び味わえるようになる。(写真は、札幌市西区琴似1条6丁目にオープンする新店舗)
(写真は、北欧STプランの斎藤豪社長)

 店舗は、札幌市西区琴似1条6丁目の「グランウェルネス琴似駅前」1階。移転した「ジョイパックチキン」店舗跡に居抜きで出店した。市営地下鉄琴似駅から西区役所方向約200mの場所で、琴似・栄町通に面している。当面は東苗穂にある製造工場で焼き上げたパンを運ぶが、新規にフライヤーやパン窯も導入して店舗で焼きたてを販売することも予定している。スタート時では約80種類のパンを販売する。

「HOKUO」は1979年創業で、一時はパン業界の風雲児として注目された。創業者は斎藤武吉氏と津田彰彦氏。津田氏は後に袂を分かち、「ボストンベイク」を創業する(現在は、「キャッツアイ」の北東商事が承継、運営)。斎藤氏は店舗拡大や東京、大阪の私鉄系企業と業務提携する積極策を展開、パンの博物館も建設するなどした。しかし、バブル崩壊で多額の借り入れが裏目に出て苦境に。2011年頃に経営を引き継いだのが、武吉氏の長男で北欧STプラン(札幌市西区)の斎藤豪社長(46)。引き継いだものの店舗の家賃負担が重く、パン業界の競争激化で縮小路線に。最後まで残っていた「アピア店」も今年3月には閉店を余儀なくされた。

 豪氏はこれで「HOKUO」を幕引きする考えだったが、閉店が決まってから「アピア店」には多くのファンが詰めかけ、直接声を掛けられるなど豪氏の気持ちが揺らぐ。最終的にお客に背中を押されて再興を決意。会社継承後の資金を巡る実父との確執から、当初は別ブランドでの再開を考えていたが、「HOKUO」ブランドを採用することに考えを変えた。「これまで、父がつくった会社を承継してブランドを守ることに汲々としていたが、今度はゼロから新『HOKUO』をスタートさせる。承継ではなく新たな事業の開始。しがらみのない新たなスタートにしたい」(豪氏)。コロナ禍というピンチを創意工夫で切り抜けた学びと閉店時のお客の熱意が、豪氏の意識を変えた。

 閉店から3ヵ月、店舗選びや資金集め、ポスター作りと、豪氏と夫人、社員4人は寝る間も惜しんでようやく開店にこぎつけた。「お客さまが喜ぶことを毎日考えていきたい」と豪氏。「プルニエ」や「ホクラン」など「HOKUO」ヒット商品を変わらず作り続けるとともに、「思いを込めた」(豪氏)新たな商品開発にも取り組む考えだ。

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