パンの「HOKUO」閉店惜しむファンで客数6倍、売り上げ2・5倍、愛されブランド一旦終了

経済総合

 札幌発祥の焼きたてパンブランド「HOKUO」(北欧)で唯一残っていた「HOKUOアピア店」(札幌市中央区)が、3月22日に営業を終了した。バブルに飲み込まれて手負いの傷を抱えながらも続いた42年間の系譜が一旦終了する。同店を運営してきた北欧STプラン(本社・札幌市西区)の斎藤豪社長は、「再起ではなく新しい『HOKUO』に生まれ変わりパンづくりを続け、地域貢献したい」と話している。(写真は、閉店した「HOKUOアピア店」)

 かつて一世を風靡した「HOKUO」も、他のバブル企業と同様、1990年代後半から衰退の一途を辿り、12年前に前経営者から承継した斎藤社長にとってもマイナスからのスタートだった。焼きたてパン業界の競争激化もあって、12年間はまさに縮小の歴史と言っても良かった。前経営者が「アピア」や「ポールタウン」、「デュオ」など一等地に出店したことで知名度は高かったが、月100万円を超える賃料負担は重く、斎藤社長も徐々に店舗を縮小せざるを得なかった。最後まで残っていたのが「アピア店」だったが、やはり賃料負担が重く、「このままでは先が見通せない。契約満了を機に一旦撤収した方が得策。その上で新たな展開を考える」(斎藤社長)として閉店を決めた。

 閉店が明らかになると来店客が一気に増えた。最後の5日間は、いつもの6倍のお客が訪れ、販売金額も以前の250%にもなった。札幌市民だけでなく、遠く名寄からも閉店を惜しんで買い求めに来るお客もいたという。「開店前から行列ができて、昼前には売り切れてシャッターを下ろさざるを得なかった。1日300人以上から『続けてほしい』とお願いされ、改めて『HOKUO』ブランドが愛されていることを実感した」と斎藤社長。

 最終日の3月22日も昼過ぎに完売となり、斎藤社長ら従業員が店頭に立ち、「アピア店」21年間の営業に感謝の言葉を述べ頭を下げた。斎藤社長は、「HOKUO」ブランドを改めて守り抜く決意を固めており、西区宮の沢周辺での出店を計画しているが、時期は未定。「多くの人たちの喜ぶ顔が見たい。新しく生まれ変わる『HOKUO』パンを通じて少しでも地域貢献ができればと思う」(斎藤社長)と話している。

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