JR札幌駅南口に出現した駐車場と白いフェンス、旧札幌西武本館跡は地下構造物現存で駐車場の荷重に耐えられず更地のまま

経済総合

 旧札幌西武の土地建物がセブン&アイ・ホールディングスから約80億円でヨドバシカメラに売却され、建物が解体されてからほぼ1年が経過、札幌駅前の一等地は10月から青空駐車場として利用されている。しかし、使われているのは旧ロフト館のエリアだけで旧札幌西武本館が建っていた土地はフェンスに囲まれた更地のままだ。果たして、どう利用されるのか。(写真左は更地のままフェンスに囲まれた旧札幌西武本館の跡地。写真右は駐車場として利用が始まっている旧ロフト館跡地)

 

 旧ロフト館は10月1日から、タイムズ駐車場北4西3として利用されている。収容台数は77台。
 同時に東京の解体業者によって取り壊された旧赤レンガ館(旧札幌西武本館)は更地になって以降は、同じく駐車場として利用される予定だった。しかし、現在もこの一角は白いフェンスに囲まれたまま。
 
 事情通によると、「あの建物には地下1階と2階があって食品売場として利用されていた。上物を取り壊しても地下の構造物はそのままにしているため駐車場として使うには荷重がかかりすぎて利用できない」
 
 旧札幌西武本館は札幌駅前通に面しており、札幌駅南口に直結しているこの場所はまさに札幌の顔とも言える。駅前通沿いでは、現在三井札幌ビル(北2西4)の建設工事が始まっているが2年後には新ビルが竣工、駅前通に新たな装いが加わる。
 
 しかし、旧札幌西武跡は現在も開発計画が白紙の状態でヨドバシ既存店舗(北6西5)の賃貸期間が切れる4年ほど後でなければ具体的な開発計画も浮上してこない可能性が高い。
 
 旧札幌西武や旧ロフト館を含む北4西3の街区一帯は現在、既存建物の地権者らで再開発に向けた連絡会が結成されているが、ヨドバシカメラは参加していない。家電量販店として効率性のある建物を建設するには、飛び地になっている2つの土地を集約することが不可欠と見られている。そのためには既存地権者との土地の等価交換を含めた割り振りが避けられない。しかし、隣接する北海道建設会館の地権者はヨドバシカメラとの接触を忌避しているとも言われ、既存地権者のヨドバシアレルギーは強い。それを漏れ聞いたヨドバシの藤沢昭和社長は激怒したと伝えられている。
 
 孤立するヨドバシの開発計画は果たしてどういう結果を生み出していくのか。ただ、神戸三宮駅前のヨドバシカメラ店舗の建設を含めた再開発計画にはヨドバシや周辺地権者、神戸市も参画しており札幌駅前の店舗建設でも最終的には神戸市と同様の枠組みができる余地も残っている。
 
 ともあれ、駅前通という札幌の顔は、いつまで白いフェンスに覆われたままなのだろうか。

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