洋菓子製造販売きのとやグループのCOC(本社・札幌市中央区)と老舗和菓子製造販売の千秋庵製菓(同・同)が業務提携して約1ヵ月、両社の協業が進み始めている。道内の菓子業界は、製造から販売、マーケティングまで全てを自社で行う企業が多いが、本州では企画、製造、販売などを水平的に分業する菓子業態が珍しくなくなってきた。今回の業務提携は、道内菓子業界の水平分業に道を開く契機にもなりそう。COCの長沼真太郎代表取締役(35)に千秋庵製菓と業務提携をした狙いを聞いた。
〈ながぬま・しんたろう〉…1986年4月、北海道生まれ、35歳。慶應義塾大学商学部卒、丸紅入社、2011年きのとや入社。2013年BAKE創業、2018年同社退社、2020年COC代表取締役就任。

 ーーなぜ、老舗和菓子メーカーと提携したのか。

 長沼 私は35歳なので正直言うと千秋庵製菓が、一世を風靡した時代をそんなに知らない。しかし、子どもの頃に見たテレビCMはよく覚えており、今でもそらで歌えるほどあのCMは好きだった。全盛時代を知らなくても、きのとやより知名度のあるお菓子屋さんいうイメージがあり、和菓子では北海道を代表する圧倒的なブランドだと捉えている。私がチーズタルトのBAKEを起業した頃から(千秋庵製菓に)興味を持っていて、何か一緒に仕事ができたらという思いをずっと持っていた。
 というのも、BAKEはきのとやという洋菓子のリソースを使った新しいブランドだったので、いつかは和菓子のリソースを使って新しいブランドができないかと考えていたからだ。今回の提携は、そういう意味で、10年越しだ。(※BAKEはIPO=新規株式公開=を目標にしていたため、きのとやとの利害相反の可能性が生じ、長沼氏はBAKE株式の大半を売却、現在は経営から身を引いている)

 ーー提携のきっかけは。

 長沼 私と庭山さん(修子・千秋庵製菓社長)の共通の知り合いがいて、1年前に紹介された。たまたま、庭山さんも社内に若い考え方を入れたいと、道内外で提携相手を探していた。元BAKE社員が千秋庵の副社長に就いていることも、今回の提携に弾みを付けた。私の方から、『互いのリソースを生かす提携をしませんか』とお願いをしたところ、受け入れてくれた。

 ーーどういう提携を想定しているのか。
 
 長沼 具体的に何をやるのかはまだ決まっていないが、庭山さんも期待しているように、私たちの若い感性を使って、千秋庵製菓の中での新商品を企画、提案することを始めたい。既にCOCから1人が千秋庵製菓に出向している。同社は現在、比較的賞味期限の長い和菓子を中心に製造しており、いわゆるナマ系をあまり作っていない。スーパーなどに店舗があるため、どちらかというとナマ系の需要は高いと思う。和菓子職人と一緒に作っていくことができればと考えている。
 COCには、パッケージのデザイナーやECマーケティングに強い人材もいるので、そのリソースも使っていきたい。きのとやからBAKEが生まれたように、千秋庵製菓から新しい和菓子ブランドが生まれれば良いと考えている。また、きのとやグループから千秋庵にパティシエを派遣したり、品質管理面のノウハウを共有することも考えていきたい。

 ーーCOCが企画した「SNOWS」や「CHEESE WONDER」は大ヒットしていますね。

 長沼 「SNOWS」、「CHEESE WONDER」の引き合いが急拡大しており、きのとやグループのKコンフェクト(札幌市東区)で作り切れないほどの生産量になっているため、千秋庵製菓のラインで製造してもらうことも考えている。また、EC通販の出荷も拡大しており、梱包出荷作業を千秋庵製菓の工場で行ってもらっている。

 ーー業務提携の先に長沼さんが考えている方向は。

 長沼 お菓子のブランドポートフォリオをつくりたい。洋菓子、和菓子のブランドをつくってそれぞれが世界観を打ち出しつつ、そのブランドを入れ替えたりして最適なポートフォリオを構成、次世代の北海道を代表する菓子企業になるのが目標だ。(終わり)


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