小樽の街角から消える「ヴィクトリアステーション住吉店」、今年7店舗目の閉店

経済総合

 小樽の街角から見慣れた景色がまたひとつ消える。「ヴィクトリアステーション小樽住吉店」(小樽市住吉町1-3)。1980年代のファミリーレストラン然とした建物は、まさに昭和の残像を今に伝えていた。当たり前だった存在が、閉店によって切り取られていく。土地に活力を吹き込んできた店舗が、静かに退場する。(写真は、閉店した「ヴィクトリアステーション小樽住吉店」)

 意外なことに小樽市内には、「ガスト」や「ロイヤルホスト」、「ココス」や「サイゼリア」といった全国系ファミレスがない。あるのは、「びっくりドンキー」と「ヴィクトリアステーション」。いずれも北海道発祥で、「びっくりドンキー」は今も札幌に本社を置き、北海道から全国展開している。「ヴィクトリアステーション」と「びっくりドンキー」は、仲良く2店舗ずつあって、小樽のファミレス文化を形づくってきた。

 地元に愛された両ブランドだが、今年8月29日、「ヴィクトリアステーション小樽住吉店」が営業を終了した。「小樽オルゴール堂」の前にあり、小樽の観光スポットでもある堺町本通りの東の起点に立地していた。

 ゼンショーグループのビッグボーイジャパン(本社・東京都港区)が、道内のみで展開する「ヴィクトリアステーション」は、3年ほど前から閉店が進んでいる。2018年5月に「石山店」(札幌市南区)、2019年2月「滝川大町店」(滝川市)、2020年12月「函館鍛冶店」(函館市)と1年に1店舗の閉店だったが、2021年に入ると加速する。1月に「旭川忠和店」(旭川市)、2月に「苫小牧船見店」(苫小牧市)と「篠路店」(札幌市北区)、3月に「江別高砂店」(江別市)と「函館若松店」(函館市)、4月に「手稲東店」(札幌市西区)と続き、今回の「小樽住吉店」で、今年に入ってから7店舗目の閉店になった。

 小樽市内のもうひとつの「小樽稲穂店」(稲穂4-2-20)は引き続き営業をしているが、全店舗数は32店舗に減った。現在、「ヴィクトリアステーション」があるのは、道内17市2町。札幌市が10店舗、旭川市は3店舗、北見市と苫小牧市は各2店舗が営業しているが、これら4市を除く13市2町は1店舗ずつしか営業していない。街の顔、地域の顔として歴史を刻んできた店舗もあるだけに、閉店がこれ以上続けば、「ヴィクトリアステーション」ロスになる道民も出てきそうだ。

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