セコマ(本社・札幌市中央区)と北海道大学、北海道科学技術総合振興センター(ノーステック財団)、北海道立総合研究機構の4者は29日、青果物などの鮮度保持技術の活用でフードロス削減を目指すコンソーシアムを設立した。フードロス削減に取り組む事業者の参加を募り、北大が開発したプラチナ触媒を用いた鮮度保持技術の実証実験を幅広く行うことで早期実用化を目指す。(写真は、「フードロス削減コンソーシアム」の設立会見。左からノーステック財団・土合宏明専務理事、セコマ・丸谷智保会長、北大・福岡淳教授、道総研・田中義克理事長=北大構内にあるフード&メディカルイノベーション国際拠点多目的ホールで)
フードロスは世界的な課題になっており、賞味期限の延長や規格外品の有効活用、青果物自身が放出して熟成を促進化するエチレンガス吸着技術の開発など様々な切り口で進められている。北大触媒科学研究所の福岡淳教授が開発したシリカにプラチナを担持した触媒は、触媒が自ら再生して交換の必要がなく、室温や低温域でのエチレン処理量が高い効果が得られている。
セコマは、このプラチナ触媒を用いた鮮度保持技術の実証実験を、2019年からセコマグループの漬物製造会社「北香」(北見市)で実施している。既存の貯蔵倉庫内に、数十万円相当のプラチナ触媒を9個設置、一定期間内の野菜の鮮度変化を調べたところ、キャベツは28%、キュウリは7%の廃棄ロス削減に繋がったという。
セコマでの実証実験の結果から鮮度保持効果は確認されているが、さらにサプライチェーンでのフードロス削減効果の検証を広く行うために今回、「フードロス削減コンソーシアム」を設立した。農業生産法人や加工・貯蔵業界、小売業界からの参加を募り、プラチナ触媒を使った鮮度保持技術の情報提供やフォーラム開催などを実施、青果物の歩留まり向上に結び付けていく。コンソーシアムの会長にはセコマの丸谷智保会長、代表には福岡教授が就いた。ノーステック財団は研究開発・事業化支援、道総研は保存技術の研究開発、実証を行う。
※2020年9月30日記事一部修正しました。