札幌の老舗パチンコ店、「若草」の名前を冠して営業していた「駅前若草」と「サン若草」が6日、閉店した。コロナ下の中、4月21日から業界に足並みを合わせて臨時休業していたがそのまま閉店することを選択した。これによって市内に「若草」を冠したパチンコ店がなくなった。(写真は、営業していたころの「サン若草」)
「駅前若草」と「サン若草」は、再開発が計画されている、札幌市中央区北4条西3丁目の一角に建つ札幌駅前合同ビルの地下2階と地下1階に入っていた。
パチンコ店「若草」は1953年に故・近藤弓夫氏が創業した「若草企業」がルーツ。近藤氏は戦前、満鉄で石炭から油を作る研究をしていた技術者だったが、戦後、札幌に引き揚げてから札幌駅前で近藤食堂を経営。その後、ダンス教室も開くなど商才を発揮。パチンコ店に進出したのも近藤氏の商才が発揮されたもので郊外には進出せず、札幌の駅前通に絞って5店舗を展開、札幌パチンコ界の草創期を彩った。
旗艦店だった北2条西3丁目の「若草」は97年に閉店、駅前にあった2店舗は近藤氏の親戚筋に譲渡、それが「駅前若草」と「サン若草」だった。
72年に新築された札幌駅前合同ビルの地下1階と地下2階の各100坪は、近藤商事(札幌市中央区)が所有していたが、一昨年に土地とビルの大半を所有している平和不動産(本社・東京都中央区)に売却されている。この売却は再開発の進展に伴うもので、「駅前若草」と「サン若草」の閉店は既定路線だった。ただ、閉店時期はもう少し後になる予定だったが、コロナ下で緊急事態宣言が5月末まで続くことになったため、臨時休業から閉店に切り替えた。
再開発が具体化するまでにはまだ時間があるため、空きスペースは隣接の成友ビル地下2階に入っている「ダイコクドラッグ地下鉄さっぽろ駅前店」が増床して利用する可能性もありそう。
ともあれ、札幌の老舗パチンコ店「若草」の名は、67年間で消えた。