札幌証券取引所は11日、個人投資家向け「札証IR」上場会社説明会を札証2階会議室で開催した。札証に上場しているキャリアバンクの佐藤良雄社長と東証1部・札証上場のカナモトの高山雄一広報室長が、それぞれ自社の業績見通しや経営戦略などを集まった個人投資家約70人に話した。佐藤社長は、「キャリアバンクは北海道という地域に特化した人材ビジネスで雇用マーケットを創出していく」と厳しい雇用環境の中で新たな労働市場を創出する意欲を示した。(写真は、キャリアバンクの佐藤良雄社長=左とカナモトの高山雄一広報室長)
佐藤社長は、日本の労働市場は若者向けの構造に作られているとし、「例えばネクタイ売り場でも若い女性が売るよりもネクタイをして仕事をしてきた65歳以上の高齢者が見立てた方が、買い求めるビジネスマンにはしっくり来る場合がある。そういう商品はたくさんある」と述べ、65歳以上の高齢者が働けるような労働市場の作り替えが必要だと強調した。
また、雇用のマッチングだけでなく、雇用のニーズを増やすことも人材派遣会社の役目として働く場所を作ることにも注力する姿勢を示した。
佐藤社長は「雇用のマーケットは拡大しているものの、人材の能力を上げる人材教育・職業訓練が必要なケースが多くなっている。フルキャリアチェンジが求められ、社会人教育のニーズが強まり人材派遣に伴う教育マーケットも我々の市場として期待できる」と語った。
さらに、就労支援の仕事も着々と増えているとして札幌の生活保護に言及。「札幌市内では、30人に1人が生活保護を受けている。生活保護を受けている人の雇用には、就労支援が不可欠。働ける人と働けない人の不公平感を調整する機能が就労支援」と生活保護の出口戦略のためにも就労支援は重要な役割を果たすとした。
キャリアバンクは、北海道に特化した人材ビジネスを展開しているが、北海道と風土の似ている東北にも一部進出。昨年3月の青森に続き今年1月には盛岡にもオフィスを開設、行政による雇用対策事業として就労支援を行っている。関東圏は視野に入れていないものの、東北では今後、仙台などにもオフィスを開設して、北海道をベースに東北の雇用マーケットとの連携も進めていく考え。
セミナーでは、カナモトの高山雄一広報室長が、震災復興や防災・減災、北海道新幹線などによる建機レンタル事業の見通しや中国での事業展開についても話した。