北海道の若手経営者を育成する「北海道経営未来塾」の今年度7回目の講座として経営実務講座が30日、札幌市中央区の北洋大通センターで開かれた。塾生35人や同塾実行委員会のメンバーなど約50人が参加した。(写真は、『勝てる事業戦略』をテーマに講話する北洋銀行・安田光春頭取)
(写真は、ハワイ出店について話すどうきゅう・中西泰司代表取締役)
最初に北洋銀行(本店・札幌市中央区)の安田光春頭取が『勝てる事業戦略とは』と題して30分の講話を行った。安田氏は、「戦略とは、将来のあるべき姿を明確にして、そこに至る変革のシナリオのことだ」と述べ、「誰に何を売るか、顧客への価値提供を基本に競合対策などを考えていくべき」と述べ、具体的な企業を挙げて成功事例を説明した。
講話後は塾生の質問に答えるなどして、「当行も将来にわたって今の商業銀行の姿で良いのかどうか」と戦略再構築が迫られている金融業界の難題を示唆していた。
続いて、海外進出の実務についてどうきゅう(本社・札幌市豊平区)の中西泰司代表取締役が『DOKYUから世界へ~米国型ホスピタリティと日本のおもてなしを融合したNEWビジネスへの挑戦』をテーマに90分間、講話をした。
中西氏は、2017年2月にハワイに進出した「とんかつ玉藤」の出店経緯について報告。「道内に本州大手の飲食チェーンが進出してきて当社の出店余地が限られてきたため、最初は東北参入を考えた。それを社員に話すと否定的だったため、何気なく『ハワイはどうか』と言うと、社員の目の色が変わった」と思い付きの会話の中からハワイ進出が固まっていく過程を話した。
単なる思い付きだったハワイ進出をわずか4ヵ月で具体化したことについて、「創造には、楽しくわくわくする感情が必要でそれは短期間でなければならない。時間が経つと損得や恐怖が先に出てきて創造の輪が回らなくなる」と述べ、創造は短い時間、計画と実行は時間をかけて決めていくメリハリが大事だと話した。
また、上質や高級のクオリティではなく味わいや風味などのテイストを高めていくこと、お腹の満足と心の満足を高めていくこと、経営者と社員の本音のコミュニケーションが企業の文化を育てる土壌など、「手間暇をかけることが独自性を生む源泉」とハワイ進出がどうきゅう本体の事業戦略を明確化することに役立ったことも説明した。