山下町長 私どものマチは小さな規模なので、北見市、網走市など周辺11自治体と経済界が入って協議会を作り空港活性化、航空会社との交渉、プロモーションなどを実施している。運営権者にお願いしたいのは、地域と連携するというよりは一体となって取り組んでもらいたいということ。地域と目指す方向は一緒だと思っているので、その中で提案をいただきたい。
現在、取り組んでいることの一つに、オホーツクのイメージを全国に発信するプロジェクトがある。地域の若者たちとSNSなどの発信力を使ってオホーツクのイメージ戦略に取り組んでおり、エアラインや今後運営権者となるSPCの方々の力も借りてオホーツクを発信していきたい。
片岡副市長 函館は観光が基幹産業の観光都市。これまでも広域観光に力を入れており、各地域と観光連携に取り組んできた。ツインシティとして青森市との連携が多かったが、弘前市、八戸市を含めた4市青函連携も締結、新たな観光ルート創出も行っている。道内では札幌、登別、函館で広域周遊ルートを作ろうとしている。今後も、官民一体となって広域観光を進めていくので、運営権者の方々と広く協議してアイデアを出し合い、広域観光を進めたいと考えている。
――道経連は運営権者とどういうことを一緒にやっていくか?
瀬尾専務理事 観光振興に関しては、広域連携DMOや地域連携DMOと連携しながら、SPCと一緒に全道に波及する観光振興を考えていくことができると思っている。さらなる観光振興に向けて規制緩和が必要ということもあると思うので、規制緩和策もSPCと一緒に検討したい。
北海道は観光と並び食を中心とする様々な基幹産業がある。広大で点在している地域の特徴から産業振興においては効率的な物流システムをどう構築するかが大きな課題。積載率をどう高めて効率的物流システムを作っていくかについての研究会、プロジェクトチームもあるのでSPCに参加してもらい、北海道の産業振興策を一緒に考えることも効果的だと思う。
――航空会社として北海道のポテンシャルをどう捉えているか、7空港一括民営化への期待感は?
森副社長 観光のポテンシャル(潜在力)を顕在化できるかどうかが一番重要。北海道は「観光」、「地方創生」、「北方領土隣接地域の振興」と様々な国の施策があり、道庁も「北海道創生総合戦略」を掲げ、北海道らしさを打ち出して人を呼び込み、呼び戻すというテーマの下、具体的施策がある。これらの施策をどんどん実行していくことが、潜在需要の顕在化に繋がっていく。顕在化に向けた様々な国、道の施策はうまく噛み合うと思う。
重要なのは、どの空港に就航を促し、どの地域に人を呼び込むかということ。航空会社はLCCだけではなく多くの機能が違う航空会社がある。数ある航空会社の中から、「この空港にはこの航空会社」といったマッチングを考え、トータルとして総需要を喚起していくことが必要だ。JR北海道を含めて北海道全体の流動性をどう高めていくかの視点は欠かせない。道内での流動性が高まればインバウンドの流動性も高まる。
そうなれば、「ポテンシャル」と言われている様々な観光資源が、どんどん顕在化してくる。ピーチでは関西国際空港から新千歳空港以外の展開、その先に道内路線の展開も視野に入っている。コンセッション事業の進捗に合わせて我々の路線展開も拡大したい。他の航空会社も様々な施策を持っているので、それらニーズを察知して各自治体の成長戦略を踏まえつつ各空港とマッチングさせていくことを7空港一体運営の中でぜひやってもらいたい。
――コンセッションに向けてそれぞれが異なる動機で動いている。自治体や公営企業、営利企業などそれぞれの違いを尊重しながらも目指すべきところは同じはず。すべての関係者にとって交流人口が増えることは、広域、地域の観点からも良いはず。そういう共通点を見出しながら、よそ者を上手に受け入れて喧々諤々やる――そういう方向性を地域に模索してもらいたい。これから実施要項などのコンセッションに向けた手続きをまとめていくには、地域のパートナーとして相応しい運営権者が選ばれるような議論が進めば良いと思っている。(終わり)