札商110周年記念フォーラム「人を呼ぶまち・さっぽろ」これからの100年を考える

経済総合

IMG_8483(写真は、クリエーター目線から札幌の発信方法のヒントを訴えた菱川勢一氏)
 続いて、映像作家・写真家・撮影監督・アーティスト・武蔵野美術大教授の菱川勢一氏が『気鋭の映像作家が語る札幌の魅力発信方法』をテーマに基調講演。
 菱川氏は、徳島県の依頼を受けて県庁のホームページにユーチューブで「VS東京」のキャンペーン動画を作って流したことを紹介、「東京との比較で徳島の良さを訴えたものだが、刺激的なタイトルが受けて地元や東京のマスコミに取り上げられた。広告効果は約10億円とも言われた。また、三重県では若者の地元流出を止めるリクルート動画を作り、こちらもカルチャー系や情報系メディアで取り上げられて話題になった」と語った。

  
 また、「大手の広告クライアントなどは、『視聴率やページビューを無視してほしい』と言ってきている。かつては視聴率やページビューが多ければそれだけCMやweb広告をよく見ていると言うことだったが、今は数字では読めない時代に入ってきた。広告効果や訴求する力を、数字で測ったりしなくなってきた。つまり繋がりや情熱が波を起こす時代に入ったということだ」とクリエーターの目線から発信方法の変化を指摘した。
 
 プログラム最後のパネルディスカッションは、コーディネーターを同志社大特別客員教授・文化庁文化芸術創造都市振興室長の佐々木雅幸氏が務め、パネリストには札幌市副市長の町田隆敏氏、札幌商工会議所観光部会長・さっぽろテレビ塔社長の高山裕史氏、札幌大客員教授の中田美知子氏、それに基調講演をした平、菱川両氏の5人が参加して行われた。

 町田氏は、「メディアアーツ都市としてコンテンツ×ITの強みを生かし、『札幌は面白そうだ』という発信をしていきたい。その一つが10月10日から16日まで開催されるノーマップス。イノベーティブでクリエイティブなマチを目指すきっかけにしたい」と述べた。

 高山氏は、「4年前からテレビ塔の営業終了後、30分間、1日1組だけ貸し切りできるようにしている。宣伝は一切していないが、口コミで広がり、今では年間180組の利用がある。本州のカップルはここでプロポーズするためだけに来てくれる。口コミの効果は大きく大事だ」と語った。
 
 中田氏は、「札幌にはフレンチ、イタリアン、ビストロの魅力的な店が増えており、それがまた全国や道内各地から有名シェフが集まって店を出すことに繋がっている。今後は、人を呼び寄せる力としてITをどう活用していくかを研究していくことが大切。また大倉山ジャンプ競技場は世界に類のない都会のジャンプ競技場で重要な観光資源。他に類のないコンテンツを持っている自覚が市民には必要では」と訴えた。

 平氏は、「雪を見たことのない人はどれだけいることか。気候の魅力は観光の大きな要素。雪を絶対活用した方が良い」とアドバイスしていた。

 菱川氏は、「芸術祭や映画祭で知名度の高い人を連れて来てもあまり意味がない。地元の若手クリエーターを育成し、芽が出てきても東京を目指さない流れを地元で如何に作るかが大切」と話した。

 コーディネーターを務めた佐々木氏は、「マスマーケットから如何にニッチマーケット、パーソナルマーケットに訴求するかが次の100年の戦略には重要な要素だ。札幌はそういう方向に切り替えていくのが良いのではないか」と締めくくった。

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