中古品買取り販売のFC(フランチャイズ)事業を展開するエコノス(本社・札幌市白石区)が24日、札幌証券取引所アンビシャス市場に新規上場した。初値は1320円で公募価格の2倍強になったが、終値は1020円でストップ安になるなど“喜びも中くらい”の新規上場になった。(写真は、有価証券上場通知書を持つ札証小池善明理事長とエコノス長谷川勝也社長=右)
エコノスの上場には、これまでアンビシャス市場のIPO(新規株式公開)とは違った意味がある。従来は、設立間もない新興企業が成長機会を求めてIPOをするケースが殆どだった。しかし、エコノスは1964年創業で今年51年目の道内では老舗企業。長谷川勝也(48)社長は2代目で10年前に上場を決断。軌を一にして札証もアンビシャス改革を実施、上場基準を変更して老舗の中堅企業にも門戸を開いた。その第1号がエコノスという訳だ。
この点について札証の小池善明理事長は、「創業50年を超える老舗企業がグローバル化などを見据えて更なる成長のためにパブリックカンパニー化を目指したのは大変意義のあること。こういった新規上場の事例が道内他企業への刺激となり、上場による成長を目指す企業を輩出することによって道内経済が活性化することを期待したい」と述べている。
この日、札証で行われた有価証券上場通知書の交付式で、長谷川社長はこう語った。「機関投資家を回った際に、『なぜ札証アンビシャス市場を選んだのか』と良く質問された。その時に私はこう答えることにしていた――『北海道の企業として地元に開設されている市場に上場することが地元貢献に繋がるから』。エコノスの社名は、エコロジーとエコノミーの共生、北の大地のノースから取っている。北海道から新たな環境価値を全国、全世界に発信していきたい」
道内の中堅老舗企業は2代目、3代目がトップになっているケースが多い。持ち株会社に移行する福山醸造グループや北海道エネルギー、岩田地崎建設など上場を目指しても不思議ではない有力企業は多い。今回のエコノス上場がこうした老舗企業への刺激になれば、上場効果は大きいと言えるだろう。
アンビシャス市場への上場は、12年5月の北の達人コーポレーション以来3年1ヵ月ぶり。アンビシャス市場には15社目で札証としては57社目の上場。
上場初日の初値は1320円で公募価格600円を大きく上回った。高値は1338円、安値は1020円でストップ安に。終値も同じだった。アンビシャス市場では6社連続で初値が公募価格を下回ったが、エコノスは7社ぶりに初値が公募価格より上回った。売買数は42万7300株、売買高は5億3000万円。この日の札証全取引の中で売買数は52%、売買高では65%を占めた。
なお、エコノスの過去3年間の業績は次の通り。
■13年3月期
売上高38億7400万円
経常利益1億3600万円
純利益2200万円。
■14年3月期
売上高39億6500万円
経常利益9100万円
純利益2900万円
■15年3月期
売上高42億5000万円
経常利益1億1200万円
純利益5800万円
ハードオフコーポレーションのFC店舗である「ハードオフ」13店舗、「オフハウス」15店舗、「ホビーオフ」15店舗、「ガレージオフ」1店舗とブックオフコーポレーションの「ブックオフ」17店舗の合計61店舗を展開、低炭素事業では温室効果ガスの排出量削減に関する調査の受託、エコロジーと商品の販売も行っている。
当面の目標は店舗数75に拡大とネット販売の強化で、本州進出、東南アジア市場へのリアル店舗進出も視野に入れている。
(写真は、上場を祝って札証関係者らと三本締めを行う長谷川社長)