IMG_8710IMG_8713 札幌商工会議所は22日、会員企業10社が開発した新製品・新サービスの合同記者発表会を北海道経済センターで開催した。会員企業と報道機関との交流を活発にしようと3年前から始めたもので今回が4回目。1社が5分間の持ち時間で新製品をPRしたが、今回注目されたのは北海道の天然素材を利用した2つの新製品。ナナカマドを利用した石鹸と天売島のナマコを使ったペット用の肉球クリーム。道産資源を利用した新しい取り組みとして注目される。(写真左は、ナナカマド石鹸を持つ阿部正治社長、写真右は天売島ナマコを利用した肉球クリームを持つワンダードック担当者)

 

冬になると赤い実に雪が積もって北海道の情感を引き出す天然ナナカマド。この実には独特の渋みがあってカラスも食べないが、道工大(現・道科学 大)との共同研究でこれを石鹸にしたのがヘア・マーテック(札幌市北区)の阿部正治社長。

 

ナナカマドの実には抗菌や抗酸化作用で知られるポリフェノール類が多く含まれ、細菌やカビに対する静菌作用が確認されているソルビン酸も含まれている。「最初はこの石鹸を髪が薄くなって悩んでいる人に向けて開発、効果があったが介護用に全身を洗う石鹸として使うとさらに良い効果があることが分かって今はこちらを主力にしている」と阿部社長。

 

介護現場ではお年寄りの身体のかゆみや皮膚の汚れ、臭い、肌荒れなどをどう防ぐかが課題だが、この石鹸は白癬菌や大腸菌、黄色ブドウ球菌を落として寄せ付けないため、おむつかぶれの解消にも大きな効果があるという。

 

「皮膚を引き締める効果があるため洗った実感が強く、おじいさんの髪の毛が生えてきたり、おばあさんのシワが少なくなったりすることで笑顔で喜んでもらえます」(阿部社長)。1個95gで2250円(税込)で介護ケア用品として販売している。ヘア・マーテックのホームページは、http://hairmertec.com/

 

天売島で獲れるナマコを使用したペット用の肉球クリームを商品化したのは札幌を中心にペットショップや動物病院を展開しているワンダードック(札幌市豊平区)。

 

ベースになった技術は、天売高校の高校生たちが「手荒れのひどい漁師の皮膚を守りたい」と開発したナマコのハンドクリーム。保湿性に優れたナマコを利用したハンドクリームは、昨年の道立高校水産クラブ研究大会で優秀賞を受賞した実績もある。
ワンダードックは、札幌市内の化粧品メーカーと共同でナマコエキスに植物由来成分などを加えてペットが舐めても安全にしたうえで皮膚の保湿・保護・角質柔軟効果を得られるようにした。「カサカサの肉球もしっとりと潤った肉球になります。この商品を通じて天売島の活性化にも繋がれば嬉しいですね」(ワンダードック)。25g2400円、5g650円(いずれも税別)。ワンダードックのホームページは、http://www.wonder-dog.com/
道産天然素材を利用した2つの製品は、新しい市場を広げそうだ。

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