ルスツリゾートやサホロリゾートなどを展開する加森観光(本社・札幌市中央区)元会長・加森公人氏(77)の元邸宅の解体工事が行われている。(写真は、解体工事が進んでいる加森公人氏の元邸宅)

 札幌市中央区の札幌市電が走る通り沿いにある邸宅は、3階建て。かつては加森観光グループ企業の本社所在地でもあり、加森公人氏の元自宅でもあった建物。この10数年間は未入居状態のようでひと気のない建物だった。今年7月下旬から解体工事が始まり、現在は写真のような状況となっている。約160坪の土地は、昭和30年代から加森産業の所有だったが、平成末期に加森家の親族に所有権移転している。

 登別クマ牧場や登別温泉ケーブルから現在のリゾート大手に成長した原動力は、加森公人氏の手腕によるところが大きい。群れない孤高の経営者で観光業界の中でも公人氏の素顔を知る同業者は少ない。公人氏は2018年に子息と社長交代したが、会長に就任した公人氏のみが代表権を持つ体制に変化はなかった。

 政治とも距離を置く公人氏だったが、カジノを含む統合型リゾート(IR)の候補地参入を巡る贈収賄事件で今年1月14日に在宅起訴されたことを受け、今年6月30日の株主総会後の取締役会で代表権のある会長職を専務で弟の公継氏に譲り、取締役に退いた。こうしたタイミングで始まった旧邸宅の解体工事、加森観光グループの変化の兆しとも取れる。


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