(写真は、講演をする石井至氏)

「私は札幌生まれ、釧路育ちで高校まで釧路に住んでいた。蝦名大也市長が高校同窓という縁もあって釧路市の観光アドバイザーをしている。釧路市は、インバウンドを地方に誘客するモデルケースを形成する国の『観光立国ショーケース』に認定され、インバウンド宿泊の目標を現在の14万人泊から27万人泊に、4年間で倍増させることが目標になっている」

「それ以外でも、広域観光周遊ルート形成、国立公園満喫プロジェクトなど日本で一番国の観光政策が集中しているところ。そこで実績を出さないと『釧路はダメだ』と見放される危機感があるので、市長をはじめ関係者は真剣に取り組んでいる」

「釧路では、海外のジャーナリストやブロガーを招待して観光地を回ってもらう“ファムツアー”実施している。これまで、台湾や香港のジャーナリストやブロガーたちに釧路に来てもらった。その際、観光協会などにモデルルートを作ってもらい、彼らに情報発信をしてもらうようではうまくいかない。まず、彼らにどこに行きたいかを聞いてからルートを作ることが大切だ。食事もコース料理を食べさせるのではなく、会議室のようなところを使ってビュッフェ形式で食べてもらうのが一番良い」

「釧路の観光関係者が売れると思っている土産や食事が、必ずしもインバウンドにも受けるわけではない。まずファムツアー参加者に聞いてみることだ。香港のブロガーたちは、酒で一番に選んだのは、福司酒造のリキュール『mina NICORI』。彼らが言うのは、『北海道は牛乳が美味しくてヨーグルトも美味しい。それから作るリキュールだからなお美味しい』と。また、お菓子では『ゆうひ』、お土産では瓶に入っている『養殖マリモ』が一番人気だった」

「インバウンドで稼ぐには、まずマーケットの声を聞くことだ。観光地が自分たちで考えている優先順位で紹介したらうまくいかない。インバウンドの需要をきちっと調査して的確に情報発信していくことが求められる。地方がインバウンドで稼ぐためには、ファムツアーで観光地を見てもらい、それに基づいて商品や名所を磨いていくこと。国の支援などを活用してファムツアーを行い、どんどんインバウンド観光で稼いでもらいたい」(この稿終わり)

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