堰八義博&溝畑宏「北海道観光さらなる高みへ!」~異色の観光2トップが白熱議論~

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IMG_1484 (2)《せきはち・よしひろ》1955年5月生まれ、札幌市出身、61歳。79年3月法政大経営学部卒、同年4月北海道銀行入行。2001年6月取締役執行役員、02年6月代表取締役執行役員、03年6月代表取締役頭取。04年9月ほくほくフィナンシャルグループ副社長、13年6月同グループ会長。15年6月同グループ会長退任、北海道銀行会長就任。16年6月から北海道観光振興機構会長
 ――JR路線の見直しについてはどういうお考えでしょうか。

 堰八 国鉄民営化で民間企業になった以上、企業は収益を出さないと生き残れない。鉄道事業で赤字を出しながら維持し続けるのは困難だということは理解できます。ただ、極めて公共性が高いインフラですから、一般の企業とは違う対応も必要でしょう。汲むべき事情としては、JR北海道が民営化の際に約6000億円強の安定基金を国からもらい、その運用益7%強の建て付けで鉄道事業の赤字を埋める予定でした。しかし、今や7%で運用できる仕組みがあれば銀行でも飛びつきます。残念ながらそういうものはありません。
 
 出来る限り関係者が知恵を出し合い、全部残すのは無理にしても出来るだけ残して欲しいというのが率直な気持ちです。北海道は日本の中で価値のある大地であり、宝ですからね。

 溝畑 私はヨーロッパで子ども時代を過ごしましたし、10年前のドイツでのサッカーW杯でも旅をしました。ヨーロッパの観光地は鉄道と道路がしっかりと完備され、広域観光が成立しています。翻って北海道の鉄路を他の46都府県と同じスタンスでは見られないでしょう。何らかの形で国を挙げて重点的に観光振興を図っていくエリアだと思う。国が優先的に支援していくくらいのスキームを考えないと……。

 鉄道が無くなった地域がどうなっていくかを全国で見ているので、今このタイミングで踏ん張らないと本当に田畑は荒れ、集落は崩壊し観光資源がなくなってしまうでしょう。
 世界的に見てもクオリティの高い観光資源を持っている北海道ですから、すべての鉄路を残すのは難しいにしても、どんどん国に提案を持ち込み、石に縋り付いても選択と集中で一定の鉄路を残すべきだと思います。

 空港民営化も非常に面白いと思っています。今まで何となくセクショナリズムで分担されていた空港が、国内線、国際線の受け入れ体制や棲み分けの問題で協調していくのは合理的です。関空と伊丹もそれがうまく機能しています。LCCとプライベートジェットを棲み分けできるのも一体化しているからこそ。いずれにしても、新幹線はやってくる、空港は民営化する、北海道はまさに高みを極める時期に入っているのではないでしょうか。堰八会長の手腕が大いに期待されますね。

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