夕張郡長沼町の「マオイゴルフリゾート」を指定管理者として運営している恵庭開発(札幌市東区)は、同リゾートの安全が確保できないとしてシーズン途中の11月4日で営業を休止する。例年は11月後半まで営業しているが、コース内にある木製橋の欄干の破損が激しいほか、クラブハウスの屋根の落下も起こりかねないとして冬期休業を前倒しすることにした。
(写真は、コース内にある破損したままの木製欄干)
「マオイゴルフリゾート」は、1994年に開業した27ホールのゴルフ場やショートコース、テニスコート、ホテルを備えたリゾート。JR北海道と住友商事、鴻池組の3社共同で約140億円投じて造成した。しかし、開業数年後に事業継続は困難として地元の長沼町に無償譲渡された。
町は、第3セクターの長沼振興公社が中心となって運営してきたが、赤字が続いたため指定管理者制度を導入、2017年1月から恵庭開発が21年12月末までの5年間運営を担うことになった。
恵庭開発は、恵庭カントリー倶楽部や登別カントリー倶楽部を運営しており、恵庭とも距離が近いマオイゴルフリゾートを運営することで入場者増やコースのブランド価値向上を狙った。運営開始にあたり老朽化していたカートを入れ替え、コースも補修やクラブハウスの内装更新に総額で3億円を投じた。
しかし、公社運営の20数年間に設備更新をしてこなかったため、コース内の木製橋の欄干部の腐食が進行、今春には雪の影響でクラブハウスの屋根の一部が鉄骨ごと落下する事態も発生した。同社は、施設所有者の町の許可が下りた部分については応急補修を実施、今シーズンの営業を行ってきた。
同社はこれまでも安全確保の設備更新を町に求めてきたが、町は予算難を理由に十分に対応してこなかった。11月に入るとコース内のカート専用道の凍結が起こりかねず、17ヵ所ある腐食が進む欄干がある橋上でスリップすれば落下の危険性もあるため安全確保が困難と判断、シーズン途中での休業を決めた。同社は、シーズン途中での営業休止について約500人いる年次会員向けに知らせたほか、クラブハウス内にも告知している。
豊嶋誠司支配人は、「コースの評価も高まり利用者も増えているが、施設の経年劣化が激しく安全が担保できないため休止を早めた。予約を入れている利用者には恵庭カントリーなどに振り替えてもらっている」と話している。
(写真は、バブル期に建設されたクラブハウス)