社団法人北海道ファシリティマネジメント協会(略称・HFMA)は19日、札幌市生涯学習センター「ちえりあ」で指定管理者制度セミナーを開いた。札幌市市長政策室改革推進部長の平木浩昭氏が「札幌市の指定管理者制度の概要」、東京不動産管理の荒井和弘常務が「ビルの長寿命化を支える効率的運用」をテーマにそれぞれ講演、約100人が参加した。(写真は、講演する平木浩昭氏=左と荒井和弘氏)
札幌市では現在、指定管理者制度を導入している施設数が416、複数の施設を一元管理しているケースもあり135の指定管理者が市の施設を管理運営している。指定管理の期間は原則4年。
平木氏は、指定管理者の指定手続きについて説明し、内部委員と外部委員合わせて5~10人で構成される選定委員会の選定基準や議会の議決を経る一連の流れを紹介。
「施設の駐車場無料化を提案して評価を受け選定されたケースや地域還元が評価され選ばれた例もある」と述べ、民間の運営能力を活用して住民サービスの向上を図り、合わせて経費の削減を図る指定管理者制度が定着してきたことを強調した。
平木氏の講演後、会場から「提案が評価され選定されてから、その提案が実現できなかった場合はどうなるのか」と質問が寄せられ、平木氏は「指定管理者は毎年度ごとに事業報告を提出しなければならず、またモニタリング評価も(市が)行っているので、それらの機会を捉えて提案どおり行うように是正をすることになる」と答えるとともに、次回の指定管理選定に影響することも付け加えた。
続いて、東京不動産管理の荒井常務は「ビルの効率的運用のためには、ビル寿命50年と見積もった場合に63%ものコストを要する管理運営などの維持費を削減することが不可欠」と語り、中でも重要なのがエネルギーコスト削減と指摘した。
ビルオーナーと管理会社が共通の認識の下でエネルギーコスト削減に取り組むことがビルの価値を上げることに繋がり、運用改善には3年程度の期間が必要になるとした。
ビルの省エネを図る場合、空調設備と並んで重要なのが照明器具対策。「常時点灯している誘導灯のLED化やダウンライト、エレベーターホールなどの照明をLEDやHfタイプに切り替えるだけでもかなりの効果がある」(荒井常務)
首都圏だけでなく札幌市内でも最近はオフィス賃料が低下しているためビルオーナーから管理会社への管理コスト削減要求が強まっている。しかし、コスト削減だけを優先するとテナントの満足度は低下するため、品質を落とさないビル運用コストの削減手法が重要とし、「①積極的な光熱費の削減②計画的修繕で修繕費の最小化③効果的運用で管理コスト削減④公的な助成金制度の有効活用――の4点を組み合わせてビルの効率的運用により長寿命化を実現していくことが大切」と荒井常務は結んだ。