社団法人北海道ファシリティマネジメント(FM)協会は30日、札幌アスペンホテルで「2012年新春FMセミナー」を開催した。昨年の東日本大震災以降、建物やマチづくりのあり方が問われている中で省エネや新エネ導入などファシリティマネジメントの考え方があらためて見直されている。新春FMセミナーではNTTファシリティーズ北海道支店の青木忠一支店長と北海道二十一世紀総合研究所の檜森聖一社長が講演、会員ら120人が参加した。(写真は、講演する青木忠一氏=左と檜森聖一氏)
 
 NTTファシリティーズ北海道支店の青木支店長は「省エネ・創エネに関する取り組み」をテーマに講演、東日本大震災で被害を受けた通信ビルや通信サービスの復旧にどう取り組んできたかや首都圏で昨夏に実施された節電にNTTファシリティーズがどう対応したかなどを紹介した。
 
 青木氏は、「北海道でも今夏には節電が必要になり混乱状態になる可能性がある」として省エネ、創エネの必要性を強調。電力節減では使用する電力総量を減らすとともに一日の最大電力使用のピークを如何に下げるかが要請されているとして、日中帯に電力使用が集中しているオフィスビルの節減策を紹介、「照明、空調、コンセント、働き方の見直しでNTTグループオフィスビルのモデルケースでは従来に比べて40%の電力削減が可能になった」と述べた。
 
 NTTファシリティーズでは、省エネとともに太陽光やEV(電気自動車)用充電インフラなど創エネを導入したスマートビルを2012年中に開発し、15年には地域全体でエネルギー制御ができるスマートコミュニティの実現を目指している。
 
 続いて檜森氏が、「北海道経済の現状と今後について」と題して講演。震災復興で北海道の経済が大きく伸びる要素はないとして、「これは北海道経済の構造的なものが影響している」と分析、「北海道経済を支えている中小企業にとって、こうすれば景気が良くなるという簡単な考えは出てこない。徹底したイノベーションと我慢とハードワークしかないと思う」と語った。
 
 一方で、中長期的な経済を支える兆しとして北海道新幹線の札幌延伸とフード特区を挙げ、「新幹線の札幌延伸が決まったら24年間の工期を短くしてもらう要請を行わなければならないが、札幌延伸は北海道経済の大きなポイントになる。フード特区は農業だけが総生産でプラスになっている現状から食関連の輸出額も2~3倍にするなど何としてでも成功させなければいけない」と強調した。 



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