札幌商工会議所は、2023年度から「省エネ・再エネ導入支援窓口」を設置、会員企業などのカーボンニュートラル実現に向けた省エネ設備や再生可能エネルギーの導入などについて支援を行っている。札商は、今38期の基本方針にカーボンニュートラル対応支援を掲げており、「カーボンニュートラル推進委員会」を設けて、札幌市や北海道と連携しながら推進している。こうした体制の受け皿になるのが、この窓口。札商は、窓口を通じて脱炭素、省エネに取り組む事業者を支援していく。(画像は、「省エネ・再エネ導入支援窓口」を紹介するパンフレット)

「省エネ・再エネ導入支援窓口」では、会員などから寄せられる光熱費の節約や老朽化した設備の更新、補助金の活用、省エネ診断ーーといった省エネ・再エネに関するさまざまな相談を受け付け、各事業者が対応可能なきめ細かな導入支援を行うのが目的。相談は2つの柱で動いており、1つは札幌市と連携して運営しているカーボンニュートラルのポータルサイト「札幌ゼロカーボン推進ネットワーク」の活用。

 このサイトは2022年度に開設したもので、省エネ・再エネ関連商品やサービスを取り扱う企業が、2023年9月時点で25社登録されている。省エネ・再エネに取り組みたい企業・個人が、このサイトを通じて必要とする分野のサプライヤーを探す、いわゆるマッチングが可能となっている。登録企業は随時募集しているが、登録は札商会員または札幌市のエコメンバーに限られている。また、サイトでは脱炭素に関する補助金の情報や制度・税制など行政施策も随時追加・更新しているほか、実際に脱炭素に取り組んでいる事業所の紹介も掲載している。

 もう1つの柱が、専門家による省エネ診断・支援が受けられる「省エネお助け隊」。札商は、全国の商工会議所の中で2例目の「省エネお助け隊」への登録となる。経済産業省資源エネルギー庁の地域プラットフォーム構築事業で採択された地域密着型の省エネの支援団体で、現在はエネルギー管理士や技術士など専門家6人が個別対応している。 
 事業者の要請により、こうした専門家が現地調査をして省エネ診断を行うもので、事前ヒアリングから現地調査、報告までに約1ヵ月間が必要。診断にかかる経費の9割が補助となるため、1名による診断は、税込み1万120円から対応可能。見積もりは無料となっている。

 診断後には、事業者の実態に即した省エネの提案を行う。これまでの例では、照明のLED化や空調室外機への厨房排気遮蔽による、効率向上といった省エネ設備入れ替え提案、換気用屋外フード防虫網の清掃などによる、ゼロコストでの運用改善提案、太陽光発電設備の導入などの提案も行った。「省エネお助け隊」の診断を受けられるのは、中小企業基本法が定める中小企業者のほか個人事業者、年間エネルギー使用量が一定規模(年間エネルギー使用量1500kl)未満の社会福祉法人や医療法人、学校法人、NPO法人。ラーメン店など個人経営の飲食店なども可能だ。

 札商産業部地域振興・ものづくり課の佐藤智史氏は、「中小事業者ではカーボンニュートラルへの投資はハードルが高いようですが、値上がりが続く光熱費を少しでも低減したい、蛍光灯をLEDに変えたい、といった身近な相談に対応できる窓口として活用を呼び掛けたい」と話している。札商では、2023年8月24日に第1回省エネ・再エネ導入支援セミナーを開催、オンラインと合わせて約90社が参加した。セミナーでは省エネ・再エネに関する情報提供と事例発表も行った。年内に2回目のセミナーも計画、事例発表を3件程度行う予定で、カーボンニュートラルに向けた普及啓発活動も積極的に続けていく。
※札商の「省エネ・再エネ導入支援窓口」→https://www.sapporo-cci.or.jp/web/purpose/04/details/post_118.html
※札幌ゼロカーボン推進ネットワーク」→https://www.sapporo-cci.or.jp/zerocarbon/


9人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。