北海道経済連合会は2025年6月12日、札幌市中央区の札幌プリンスホテル国際館パミールで、「創立50周年記念式典」を開催した。道経連会員企業関係者のほか、東北、北陸の経済連合会役員、鈴木直道知事や秋元克広札幌市長、道内経済団体関係者ら201人が出席した。
(写真は、道経連設立50周年記念式典で挨拶する藤井裕会長)
最初に、道経連の藤井裕会長(北海道電力会長)が登壇。50年前に道経連が発足した際の設立趣意書に記されている《大きな潜在的発展力を未だ十分に生かすに至らず、立ち遅れが否めない》というフレーズを紹介、「現在も多くの分野で当てはまる。言い換えれば、北海道は、未だ十分にポテンシャルを発揮できておらず、開発面でも他地域に比べ、相対的に遅れているのが実情」と述べた。
その上で、「北海道新幹線は、当会設立の1年前に全国新幹線鉄道整備法に基づき整備計画が決まった路線だが、50有余年の歳月を経てなお札幌開業時期が確定していない」と話した。一方で、ポテンシャルの発揮については、「今、北海道は、千載一隅のチャンスを迎えている」として、昨年6月に北海道が国家政略特区、札幌市がGX金融資産運用特区の対象地域に指定されたことを掲げ、GX産業の集積と金融センターの形成に取り組む姿勢を強調。また、4月にパイロットラインが稼働を始めた次世代半導体製造・ラピダスや道内各地で大型データセンターの建設が進んでいることに触れ、「こうしたプロジェクトは、北海道の産業基盤を強化し、国の経済安全保障にも貢献することが期待されている」と語った。
藤井会長は、設立趣意書に記載された《北海道の持つ大きな潜在的発展力》の真価を最大限に生かし、「我が国、そして北海道の課題解決に貢献していくことが必要で、それが当会の使命。次に続く50年のさらなる飛躍を目指し、変わらぬ使命感と情熱を胸に、決意をもってこれからも取り組んでいく」と締めくくった。
来賓として挨拶した道経済産業局の鈴木洋一郎局長は、武藤容治経産大臣の祝辞を代読、伊東義孝・内閣府特命担当大臣は、ビデオメッセージで祝辞を述べた。また、鈴木直道知事は、「食料安全保障、経済安全保障は北海道が担うという思いは、藤井会長をはじめとする皆さまと同じ。北海道のポテンシャルを現実のものに変えていくためには、具体的なプランに基づいた国への政策提案が必要。誰が総理であろうが、誰が大臣であろうが、北海道の普遍的価値を訴える取り組みを道経連とともに進めていく」と語った。
(写真は、記念講演をする川村秀憲・北大教授)
式典の後、記念講演に移り、北海道大学大学院情報科学研究院の川村秀憲教授が、『人工知能の未来~我々の社会や生活はどう変わるのか~』をテーマに話した。川村氏は、AIは指数関数的に進化し、世界中で必要とされる能力は人口知能化されるとし、「大きなゲームチェンジに突入しており、従来の勝ち組、負け組は大きく変化する。人は多様な価値観の能力を持って、人にしかできないことを追求すべきだ」とした。「人と人工知能が、ともに社会システムの構成員として調和する新しいシステム観、倫理観を考えることが必要」と結んだ。