札幌商工会議所は、会員企業の人材採用に関するサポート事業を強化している。産業部内に人材確保・活用課を設け、会員企業が「人材」に出会うための機会を数多く提供する体制にした。企業と求職者の踏み込んだマッチングを創出、深刻化する人手不足の改善に取り組んでいる。(画像は、人材確保・活用課のパンフレット)
札商は、会員数が、約2万社と札幌市内では、最大の経済団体で、商議所としても東京や大阪に次ぐ全国3番目の規模を持つ。多様な業種が会員になっており、求職者にとっても選択の幅が広く、魅力的な企業も多い。こうした中、人材確保・活用課では、人材採用のサポート事業として、企業と学校の連携に力を入れており、出張型合同企業説明会や、短期職場体験、模擬面接・企業講話の講師派遣、職業体験会などを行っている。
出張型合同企業説明会は、求職者が、在籍する大学・高等学校などに出向き、企業の魅力を発信するもの。新卒向けと中途向けが年2回、高校生向けが年2回以上、外国人・留学生向けが年3回、それぞれ定期的に開催している。以前までは、出張型ではなく、会場を借りて合同企業説明会を開催していたが、求職者がなかなか集まらないというネックがあった。「今年から学校に出向く出張型にしたところ、学生の集まりが良く『企業をより深く知ることができた』と好評です」と産業部人材確保・活用課の増山祐子課長。
(写真は、弘前大学で行われた出張型合同企業説明会)
新卒向けでは、6月21日に道外初開催となる弘前大学での出張型合同企業説明会を行った。札幌市内の会員企業や北海道開発局など23社・機関が参加。「弘前大学は札幌で働きたいという学生が多いとのことでしたので、開催が実現しました」と増山課長。参加人数は約50人、延べ面談数は170を超え、参加企業・機関は手応えを感じたという。今後は、道外の大学でも、需要があれば積極的に開催していく考え。
模擬面接では、企業の採用担当者が高校に出向き、実際の面接のような形で一人ひとりと対応するもの。学生は、リアルな面接指導を受けられ、企業にとっても学生のニーズを把握でき、かつ教職員との接点を持つことができると好評だ。また、職場体験会では、自動車整備関係の企業が工業高校に出向き、ヘッドライトの磨き方など、実践に即した体験を行っている。
その他にも、企業の採用担当者と学生との交流会や、留学生向けの企業説明会、訪問会、UIJターン支援などを行っている。
(写真は、留学生企業訪問会)
また、今年度は、札幌市と共同で市内大学生を対象にした、「就活動向調査」や、外国人材活用に関する企業への意識調査を行い、その結果を市の施策や今後の事業にいかしていく考え。
(画像は、外国人材アンケートのチラシ)
増山課長は、「札商では、さまざまな業種の会員企業を紹介できる強みがあるので、まずは求職者の皆さんに企業を知ってもらい、企業の人手不足の改善に向けて、会員企業の声を聞きながら、事業を行っていきたい」と話している。