道銀本店、現ビルで60年の営業終了

金融

 市街地再開発事業による建て替えのため、解体が決まっている道銀ビル(札幌市中央区大通西4丁目1)。そのビルの1階に入っていた道銀本店が、2024年4月19日に60年間にわたる営業を終了した。週明けの同年4月22日からは、南2条西2丁目14の札専会館ビル1階に移転して営業する。本店は、2028年の新ビル竣工後に戻ってくる予定になっている。(写真は、最終営業日を迎えた道銀本店)
(写真は、現ビルでの営業を終えた道銀本店)

 1951年3月に設立された北海道銀行は、本店を別の場所に構えていたが、1964年8月に道銀ビルが竣工、本店はこの場所で営業を開始した。大通と駅前通が交差する四つ角には、かつて北海道拓殖銀行本店ビル、秋田銀行札幌支店ビル、明治生命ビルと道銀ビルが構えていたが、道銀ビル以外は建て替えられ、道銀ビルのみが昭和の面影を残していた。ちなみに、道銀ビルが建つ前の1955年頃の地図には、日本銀行支店、毎日新聞総局、北海タイムス社が表記されている。

 最終営業日のこの日、本店を訪れた利用者たちの多くは、本店の代名詞にもなっている巨大レリーフ「大地」(縦3・3m、横41m)をスマホの写真に収めていた。15時になると約30人の行員たちが起立し、深々とお辞儀をして、このビルでの営業を終えた。15時以降は、お金の帳尻を合わせる「締め上げ」の作業のほか、今やほとんどなくなっているが、手形・小切手の「算を入れる」作業も行われ、17時頃には本店業務が終了した。

「銀行員にとって、本店は特別な存在。道銀の1丁目1番地といってもいい場所ですから、やはり寂しさがあります」と道銀の坂野公紀広報CSR室長。坂野さんは、入行23年だが、そのうち13年間を道銀ビルで過ごした。高い天井にロングカウンター、広々とした空間に流れる特有の緊張感。坂野さんはその一つひとつを記憶にとどめるように、見つめていた。4年間の仮営業期間の後に戻ってくる本店は、どんな顔を見せてくれるだろう。

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