スーパーマーケット「ゼロ」を免れた人口2336人の遠別町

流通

 人口2336人(2023年12月末)の天塩郡遠別町で、スーパーマーケットの再編がある。「Aコープえんべつ店」と「チューオー遠別店」が閉店し、「Aコープ」店舗跡に「コープさっぽろ」が、居抜き出店するというもの。2店舗が1店舗に減少するが、町にスーパーが「ゼロ」という事態は免れた。小さな町のスーパー再編には、偶然が重なった。(写真は、2024年1月末に閉店する「チューオー遠別店」)

 遠別町には、るもい農協(本所・苫前郡羽幌町)が運営する「Aコープえんべつ店」(本町3丁目76-68)とコープさっぽろ(本部・札幌市西区)グループの中央スーパー(本社・留萌市)が運営する「チューオー遠別店」(本町6丁目26)があった。ともに店舗老朽化が進み、新たな投資をかけてリニューアルをしても、投資を回収できない悩みを抱えていた。そうした中、「チューオー遠別店」は、建物の躯体が限界に近かったため、2024年1月末での閉店を先に決めていた。

 コープさっぽろの留萌地区本部の職員が、「Aコープえんべつ店」を訪問、「チューオー遠別店」の閉店を伝えると、農協側も閉店を検討していることを打ち明けられた。「町にスーパーがなくなる事態は何としても避けたい」ーー両者の考えは一致し、Aコープ店舗跡にコープさっぽろが、居抜きで出店することがトントン拍子で決まった。

 話が進んだのは、先例があったから。夕張市で展開していた「コープ夕張清陵店」が老朽化で閉店、先に閉店していた「Aコープ南清水沢店」跡に居抜き出店したケースがそれ。今回、Aコープ側の条件は中央スーパーではなく、コープさっぽろが承継することだった。同じ協同組合という仲間意識があったことに加え、ライバル同士だったチューオーへの引継ぎには抵抗があったためだ。

 結果、Aコープは、チューオーよりも早い2024年1月13日で閉店した。コープさっぽろは、これまでの既存店改装でストックしておいた冷凍・冷蔵機器を同店舗に運び入れ、投資回収が可能になるようにリニューアル費用を抑える。また、農協側も低家賃で運営に協力する。店舗従業員は、2店舗の従業員10数人を引き続き雇用することで、人手不足を回避する。

 コープさっぽろの小松均常務理事は、「遠別町と初山別村、天塩町の一部を合わせた約5000人が商圏人口になるが、年間3億円強の売り上げでペイできる店舗になるだろう」と話す。偶然の再編によって生まれる「コープさっぽろ えんべつ店」のオープンは、2024年2月15日(木)が予定されている。ちなみに、コープさっぽろにとって、「えんべつ店」は最北の店舗になる。

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER