農協系食品スーパーの閉店が続いている。2023年になって既に3店舗が閉店した。大手チェーンは、高い時給で働き手を確保しており、地域で展開している農協系は、求人を出しても集まらない状況が続いている。地域の人口減も重なって、農協系食品スーパーは岐路に立っている。(写真は、Aコープの店舗看板)

 農協系食品スーパーは、単位農協が展開している「Aコープ」とホクレン(本所・札幌市中央区)の子会社、ホクレン商事(本社・同市北区)が単位農協から経営を引き継いだ「エーコープ」に大別できる。いずれの店舗も、単位農協の本所に隣接する形で展開しており、売り場面積も200坪程度と小さい。

 こうした小型食品スーパーは、昨今、必要に迫られている脱フロンの冷凍・冷蔵ケースへの交換もままならない。冷凍・冷蔵ケースは店舗の電力消費の大きなウエートを占め、更新すれば電力消費も低減できる。しかし、投資負担は重く、200坪級のフロアなら5000万円程度は必要とされている。地域の小型食品スーパーは、こうした投資負担を回収できないとして、閉店を決断するケースも多く、農協系も同様と言える。

 今年に入って、3月末にJAるもい(本所・苫前郡羽幌町)が運営する「Aコープてしお店」(天塩郡天塩町)が閉店したほか、4月末にはJAとまこまい広域(本所・勇払郡厚真町)が運営する「Aコープ上厚真店」(同)も閉店した。また、10月15日にはホクレン商事が運営する「エーコープしべちゃ」(上川郡標茶町)も閉店している。

 2022年は、1月15日にJAとまこまい広域の「Aコープほべつ店」(勇払郡むかわ町)、2月15日に「エーコープうらほろ店」(十勝郡浦幌町)、3月15日に「エーコープ雨竜店」(雨竜郡雨竜町)、8月31日にJAいわみざわ(本所・岩見沢市)の「Aコープ鉄北店」(岩見沢市)が閉店した。地域で展開する、農協系食品スーパーの生き残りシナリオは見えていない。


44人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。