札幌の老舗洋菓子店「パールモンドール」の「南6条店」(札幌市中央区南6条西23丁目4-1)が、52年間の歴史に幕を閉じてから2ヵ月余り、店舗は解体され更地になった。その更地に「パールモンドール」があったことを示す跡はなく、街なかで見かける更地の一つに過ぎなくなった。(写真は、解体され更地になった「パールモンドール南6条店」跡地)
「パールモンドール」は、北海道の洋菓子発祥の店。小樽の「館」で25年間、洋菓子作りに励んできた下出正三氏(故人)が、1971年に独立して創業した洋菓子店で、当初は「フランセ」の店舗名で札幌・円山に出店していた。翌1972年に「パールモンドール」に店舗名を変更、1975年に円山から移転して「南6条店」をオープンさせた。
下出氏は死去し、子息が「パールモンドール南6条店」を承継、運営してきたが、生活様式の変化と建物老朽化により閉店を決め、2023年8月31日、惜しまれながら閉店した。閉店から数日後には、早くも建物内の製造機器やショーケースなどが搬出され、9月半ばからは建物の解体工事に入っていた。そして10月下旬に建物はすべて除却され、更地になった。
南6条通沿いにある約150坪の更地に、何が建っていたのかさえ思い出せない街角の風景が、広がっている。土地所有者はパールモンドールで変化はないが、建物のない更地は寂寥感を漂わせる。52年間の賑わいの記憶を、さらに遠ざける積雪の季節が間もなく始まる。※「パールモンドール二十四軒店」は、通常営業を続けています。