次世代半導体を手掛けるラピダス(本社・東京都千代田区)の工場建設が決まっている千歳市。美々ワールドの予定地では、工場建設を担う鹿島建設(同・同都港区)による整地作業が始まっているが、建設が本格化すると、総勢で6000人近い建設従事者が現場入りするという。課題になるのが、それだけの人数を収容する宿舎。そんな中、空きホテルとなっている「ホテルモントレ札幌」が宿舎の一つとして浮上している。(写真は、2022年10月魔末に閉館した「ホテルモントレ札幌」)
台湾半導体大手、TSMCの熊本工場建設が進んでいる。2023年後半にも完成し、2024年12月から半導体の出荷が予定されている。こちらも鹿島建設が施工しているが、課題となったのが建設従事者の宿舎だった。最初は、建設場所近くのホテル・旅館を利用していたが、建設が進むにつれて建設従事者が増え、建設現場から20㎞、25㎞と離れた場所に宿舎を確保せざるを得なくなった。TSMC熊本工場は、24時間3交代制で建設しているため、夜中でもバスでホテルから多くの建設従事者が出入りしているという。
ラピダスの工場は、TSMCよりもさらに規模が大きく、建設従事者も最も多い時期で6000人とされている。そんな中、宿舎の一つとして2022年10月末で閉館した「ホテルモントレ札幌」が浮上している。同ホテルは、1994年に竣工した地下2階、地上9階で客室数は250室。閉館理由は施設老朽化だが、ホテル側はすぐに解体する予定はないとしていた。
その「ホテルモントレ札幌」の設計、施工は鹿島建設だった。全国の「ホテルモントレ」で鹿島建設は施工実績があり、2000年12月にオープンした「ホテルモントレエーデルホフ札幌」も鹿島建設が設計、施工している。閉館している「ホテルモントレ札幌」が建設従事者の宿舎になる可能性は高い。ともあれ、全国的なインバウンド回復で、北海道のホテル需要は買い手市場。ラピダス工場建設の本格化によって、千歳を含む札幌圏のホテル需給はさらにタイトになりそうだ。