エスコンフィールド北海道のもう一つの目玉、「天然芝」は大丈夫か

社会・文化

 エスコンフィールド北海道(北広島市Fビレッジ)の開業から1ヵ月、アクセス面の改善を求める声が出るなど、課題解決に向けた施設運営側の最適解を求める模索が続いている。そんな中で、新球場の売りの一つである「天然芝」について懸念の声が出ている。(写真は、エスコンフィールド北海道)

 フィールドに敷き詰められた天然芝は、寒さに強い「ケンタッキーブルーグラス」をメインとした芝種。北海道のサッカー場でもこの芝種がよく使われている。芝は千歳市の畑で2年半かけて育成されたもので、一定の長さのロール状に切り出したものを現場で90cm角にして張り合わせて完成させている。

 この芝は、寒さに強い半面暑さに弱く、25℃以上になると葉が細るなど弱点もある。このため、フィールドには地温コントロールシステムが採用されている。芝の表面から30cm下に13ブロックに分けて配管を走らせ、冬は温かい水を、夏は冷たい水を流して生育に支障が出ないように工夫している。

 こうした万全の対策を施しているが、スプリンクラーで水撒きをした後の水が、傾斜に沿ってうまく流れないなどの課題も出てきているという。また、芝が青いのは、夏頃までで、それ以降は青さが失われるのではという懸念も出ている。

 課題が大きいのは、球場の外の緑地帯だという。そこにも多くの芝が植えられているが、3月開業に合わせて芝を張ったために、雪解け水などによる支障が顕著になっているという。一部の芝は、張り替えをしなければならない状況にもなっている。

 開業から1ヵ月、新球場の内外に植えられた天然芝の生育課題が見えてくるのはこれから。エスコンフィールド北海道は、開閉式屋根で直射日光が当たりにくく、冬場は積雪しないために温度管理は難しい。一方で、北海道のゴルフ場やサッカー場には、寒冷地で鍛えられたグリーンキーパーたちの蓄積がある。エスコンでの天然芝管理には、こうした地域の知見も十分に取り入れてほしいものだ。

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