北海道電力・藤井裕社長が語った4年で社長を交代する訳

経済総合

 北海道電力(本社・札幌市中央区)は、2023年4月27日の2023年3月期連結決算発表に合わせて、藤井裕社長(67)が代表権のある会長に就き、齋藤晋取締役常務執行役員(62)が社長に昇格する役員人事を内定した。同年6月28日開催の第99回定時株主総会で、正式決定する。藤井社長が会見で語った社長交代の理由などを紹介する。(写真は、会見する北海道電力の藤井裕社長)

 ーー社長交代の理由は。

 藤井 (私は)2019年6月に社長に就任し、翌年2020年4月に電力業界は送配電部門の分社化が行われ、経営環境が大きく変化した。当社は、2030年に向け数値目標、推進体制を整え、経営改善や電力安定供給に向けたさまざまな取り組みを行うなど布石を打ってきた。中核事業の電気事業に加え、ガス事業、ESP(エネルギーサービスプロバイダ)事業の展開に加え、再生可能エネルギーを利用した電源開発、水素の製造活用といった新技術にも取り組み、徐々にその成果を上げつつあると考えている。

 昨年6月には北電グループを取り巻く環境の大きな変化に対応して、重要な経営課題に対して的確かつ迅速な対応が行えるよう、取締役会の意思決定の透明性と監督機能の実効性を一層高めるために「監査等委員会設置会社」にして、新たなガバナンス体制を構築した。現在、料金審査、泊安全審査など継続案件もあるが、一定の道筋はついていると考えている。

 一方、北海道に次世代半導体工場進出の表明があり、今後の北電グループを取り巻く事業環境の変化を踏まえて、ビジネスモデルの変革や事業領域のさらなる拡大に向け、新たな取り組みを進めていく必要があると受け止めている。カーボンニュートラルを見据えた展開や新たな事業ポートフォリオを実現していくためには、新社長による新たな業務執行体制で、柔軟な発想を持ちつつ、挑戦していくことが必要であると判断し、社長交代を決意した。後任の齋藤氏は、将来に向け変革する力とそれをやりぬく粘り強さを兼ね備えた人物だ。

 ーー社長在任4年間を振り返って。

 藤井 原発を再稼働できなかった責任は重いと感じている。私自身は、就任した時から4年を節目と考えていた。その期間に成果を出していくことが(私に)問われたことだと認識していた。在任期間中に次の世代にバトンを渡すことも大事だと思っていたが、一定の道筋をつけることができた。そういう観点で今回、社長交代を判断した。
 電気料金の値上げについては、現在も国で鋭意検討していただいている。私たち申請側としては、何とか6月1日の値上げをしていけるよう最善を尽くしていきたい。交代まで2ヵ月あるので、残された課題に全力で取り組みたい。

 ーー後任の齋藤氏はどんな人物か。

 藤井 齋藤氏は5年前の北海道胆振東部地震の際に、苫東厚真発電所の所長をしていた。非常に現場に精通して、現場のことをよく承知している。常々社長交代について考えていたが、具体的には昨年暮れくらいに決め、本人には今年2月か3月頃に声をかけた。本人からは「しっかり頑張ります」と力強く言っていただいた。

(写真は、北海道電力の新社長に就任予定の齋藤晋氏)
 齋藤晋氏の略歴…1961年1月、北海道出身。1983年3月北見工業大学工学部環境工学科卒、同年4月北海道電力入社。2015年6月苫東厚真発電所長、2017年7月執行役員苫東厚真発電所長、2019年6月執行役員火力部長、北海道パワーエンジニアリング兼務出向、2019年7月常務執行役員火力部長、北海道パワーエンジニアリング兼務出向、2021年6月取締役常務執行役員火力部・カイゼン推進室・情報通信部担当。

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