「北方ジャーナル」2023年4月号が今日15日から店頭に並んでいる。今月のトップは本誌独占の「寿都町漁協の“黒い霧”を追う」だ。いわゆる“核のゴミ”の最終処分地選定に向けたNUMO(原子力発電環境整備機構)の調査受け入れを表明して物議を醸し、全国的に耳目を集めた後志管内の寿都町。今回はそんなまちの別の側面、基幹産業が抱える危うさを報告したい。水産のまちを支える寿都町漁業協同組合(小西正之代表理事組合長)では近年経営が悪化し、2年あまりの間で組合長の交代が繰り返されるなどガバナンスが漂流。そのような中で“海の黒いダイヤ”と言われるナマコをめぐり、浜では反社がらみのきな臭い話も流れている。豊かな海の恵みを受ける漁協で、いま何が起きているのか──。(画像は北方ジャーナル4月号の表紙)

 道内最大メディアの内情に斬り込んだ「常務急逝の道新 “崩壊元年”の幕開け」が大きな反響を呼んだ先月号。その北海道新聞(札幌市中央区、宮口宏夫社長)で2月下旬、30年ぶりのストライキ入りが現実味を帯びる事態が起きた。労使間の春闘・夏期末手当交渉で、給与額のベースアップをめぐり組合側が「ゼロ回答なら闘争入り」を通告したのだ。結果としてストは回避されたが、仮に実現していた場合、それは同社初の“デジタルスト”となる筈だったという。収束の決め手は、「100円」のベアだった。

 4月23日投開票の統一地方選の中で大きな注目を集めているのが函館市長選だ。今回は現職で4期目を目指す工藤壽樹氏(73)と新人で市の元保健福祉部長・大泉潤氏(56)が争う事実上、一騎打ちの構図となっている。青森県・大間原発の建設差止訴訟を主導する工藤氏は財政再建を成し遂げ、3期12年の実績を強調。元部下の対抗馬については「彼には函館を任せられない」と突き放す。これに対し市役所を退職し「市民が誇りを取り戻せるまちにしたい」と名乗りをあげ、地元の人口減少問題を強く憂慮する大泉氏は、何より未来のために子どもと教育への投資が必要だと訴える。この2人を直撃し、それぞれが思い描く「これからの函館」を訊いた。

 札幌国際大訴訟で大月氏が全面勝訴した。懲戒解雇処分を受けた大学教授が地位確認を求めて起こした裁判で2月中旬、教授側の主張が全面的に認められる判決が言い渡された。裁判所は当時の処分を「合理的な理由を欠く」と指摘、ひいては「不法行為にあたる」と断じたが、被告の札幌国際大学(札幌市清田区、蔵満保幸学長)はこれを不服として控訴した。提訴から2年半あまり、留学生受け入れ問題をきっかけに始まった争いは、なお収拾のつく兆しがない。

 被害告発から3年めの春を迎える、北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題。現場では負の遺産を払拭すべく改革の成果を伝える声が聴こえ始めたが、一方で被害学生らへの謝罪・賠償は未だ完遂せず、未認定被害の調査も終わりが見えていない。地元議会では学生確保について報告があり、次年度の新入学者数が昨春に続いて大幅な定員割れとなることが確実となった。現場のハラスメントが解消されても、真の春はまだ遠い。

 本誌独占の道警不祥事検証シリーズもお見逃しなく。地元警察への定期的な公文書開示請求で、昨年第4四半期(10―12月)に記録された警察官の不祥事の概要があきらかになった。これにより通年の記録がまとまり、2022年の不祥事が前年比で1割ほど増えた結果が判明。さらには、現職警察官が逮捕された事案2件がいずれも懲戒に到らない監督上の措置に留まっていたことがわかった。現時点で公文書から確認できる事実を、急ぎ報告したい。

 このほか、計画撤回を求め参加者の怒号が飛ぶ大荒れの展開となった大手総合商社の双日(東京)の「(仮称)北海道小樽余市風力発電所」に関する住民説明会のレポート、観光客の迷惑行為が深刻な問題になっている上川管内の美瑛町が「持続可能な観光目的地実現条例」を制定したニュース、日ハムの新球場、エスコンフィールドHOKKAIDOの開業に湧く北広島市東部地区の住宅建設環境を追った「シリーズ住宅不動産情報」などもオススメ。同誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル4月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。

※4月号主要コンテンツ
【報道】
■寿都町漁協の“黒い霧”を追う──経営の悪化で弱体化する統治。ナマコで囁かれる反社の関与
■懲戒解雇「不法」。国際大訴訟で大月氏が全面勝訴「合理的な理由欠く」と札幌地裁
■「これからの函館」を誰に託す? 市長選で激突する工藤 壽樹 氏(現職)と大泉潤氏を直撃
■地元紙・80年めの迷走〈11〉──道新、今世紀初のスト回避 団交「ベア100円」で収束
■道警不祥事から考える〈61〉──2022年概観 逮捕の2警官、死亡事故と暴行で懲戒ならず
■告発・絶望の学府〈23〉──定員割れ続く道立看護学院 パワハラ発覚から丸2年、再生半ば
■樽余市の大型風車で双日が住民説明会 計画撤回を求め参加者の怒号が飛ぶ大荒れの展開
■これからの北海道観光を探る【美瑛町編②】この冬も新たな観光公害。防止条例が4月施行へ

【ニュース】
■現職菊谷氏引退の伊達市長選に与野党の柵ない中山道議が立起
■がんの早期発見で産学医連携始動 微量の尿による検査キット発売へ
■記念塔解体を止める唯一の手段 存続派「仮の差止めの申し立て」
■孤立対策で官民連携を目指す道がシンポ「複合的な困り事に対応を」

【道東・釧路特集】
◇伊東良孝衆議に訊く「飼料価格の暴騰で危機の酪農 食料安全保障の確立が急務に」
◇蝦名大也釧路市長に訊く「実感する最大の経済対策は将来展望できるまちづくり」

【企業】
●コロナ対策の切り札 ESIの次亜塩素酸水パウダー、クリアランスαが製法特許を取得
●再び高まる融雪需要 脚光浴びるトップブランド、家庭用融雪機「ゆうらく号」
●北海道と中国を繋ぐ「青木ビジネス企画センター」 中国の食糧大手と業務提携

【経済】
●シリーズ・住宅不動産情報⑥──日ハム新球場で地価上昇率全国一の北広島市

【人物】
●不動産業界紙創業者で僧籍を持つ小西征夫さんが刊行する小冊子『おゝ他力よ!! 他力!』

【医療】
●中村記念病院の佐光一也副院長に「慢性頭痛」の原因と治療法を訊く

【特別寄稿】
●まだまだ上がる電気料金 この非常事態を乗り切るには──㈱あかりみらい代表取締役 越智文雄氏

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(91)──道内各地の居場所事業が明暗を分けた理由(前編)


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