「北方ジャーナル」2023年5月号が今日から店頭に並んでいる。今月のトップは本誌独占の「パワハラ疑いの社福幹部が“コロナ密会”」だ。札幌市内の手稲区と清田区に特別養護老人ホームを中心とする事業拠点を構える社会福祉法人 神愛園(本部手稲区・後藤学理事長)。キリスト教の精神に基づいて設立され、半世紀以上の歴史を歩んできた社福で噴き出したのが幹部によるパワハラ疑惑と“コロナ不倫”問題だ。札幌では老舗の社福である神愛園でいったい何が起きているのか──。(画像は北方ジャーナル5月号の表紙)

 “核のゴミ”の最終処分地選定問題で物議を醸し、全国的に耳目を集めた後志管内の寿都町。このまちを支える大黒柱、寿都町漁業協同組合に関する続報にも注目。先の4月号で大きな反響を呼ぶ中、本誌報道直後の3月下旬に小西正之代表理事組合長ら幹部4人が一斉に辞任したことが明らかになった。この辞任劇の前に漁協と小西組合長、横山登監事は弁護士を通して名誉毀損などで本誌を訴える旨を通知している。法的手段に訴える動きを見せる中で彼らはなぜ辞任したのか。役員の欠員による選挙が4月20日に迫る中、阿部茂樹専務理事が倒れドクターヘリで緊急搬送される出来事も起きている。混迷を深める同漁協の内実を追った。

 事態の表面化から丸2年が過ぎた公立看護学校のパワーハラスメント問題に大きな進展があった。最大の被害といえる在学生の自殺事案を調査していた第三者機関の結論がまとまり、自殺とハラスメントとの因果関係が認定された。複数の元教員・元学生らへの聴取であきらかになったのは、学内で横行していた不適切な教育の実態だった。志半ばで力尽きた男子学生は、長く学校に根づいた理不尽な指導に追い詰められていた。謝罪を口にした加害者は、今のところひとりもいないという。

 本誌が昨年春に報じた北洋銀行の親密企業、不動産業のネクステップ(本社・札幌市中央区)の水口千秋社長(当時・67)の暴走経営は、関係者の大きな反響を呼んだ。報道後、ほどなく水口氏が退任、後任の濱岸春尋新社長(当時・61)の下で第三者によるガバナンス委員会が問題の検証を行なったが、その濱岸氏も昨年8月に退任する経緯を辿った。そんな中、同社ではネクステップ元社長の新居隆氏が会長に復帰。新社長の来生淳二氏と共に会社の正常化に向けて取り組んでいるという。会社の再生に取り組む2人を直撃し、“事件”の総括と出直しを訊いた。

 道警によるいわゆる「ヤジ排除事件」の控訴審のレポートも要チェック。高裁に舞台を移した審理では、昨春の地裁判決で実質全面勝訴した一審原告らが4年前の夏に侵害された言論の自由の重要さを改めて訴え、控訴棄却を強く求めて終結した。長引く闘いの次の結論は、6月下旬にあきらかになる。そのほか旧優生保護法下の強制不妊問題で全国で初めて実名を明かして国に賠償を求めた男性の裁判が3月中旬、控訴審判決に到ったニュースも必読だ。争点だった「除斥期間」の適用を地元裁判所はよしとせず、満席の法廷で言い渡されたのは国に賠償を命じる逆転判決。ようやく「幸せ」を掴んだ被害者はしかし、年度末に伝わった国の上告でさらなる闘いを強いられることとなる。原告男性の真の救済は、いつ訪れるのか。

 このほか本誌独占の道警不祥事検証シリーズもお見逃しなく。前号締め切り後に一部開示された公文書により、同号で伝えた昨年第4四半期(10―12月)の未発表事案の中に事件捜査の対象となったケースが複数あることが確認できた。年度が替わる間際にはまた別の事件が発生し、当事者の警察官が起訴後に再逮捕される事態に。表面化を免がれ人知れず処理されている事件もあれば、隠し切れずに報道発表される事件もある。ともに現時点でわかっていることを報告しておきたい。同誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル5月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。

※5月号主要コンテンツ

【報道】
◾️社会福祉法人 神愛園を検証する──パワハラ疑いの幹部2人がコロナ渦中にラブホで密会
◾️寿都町漁協の“黒い霧”を追う〈2〉──本誌報道直後に小西組合長ら役員が一斉辞任
◾️“暴走経営”のネクステップが出直し宣言──新居会長と来生社長が信頼関係回復に尽力
◾️告発・絶望の学府〈24〉──江差看護の在学生自殺でパワハラ認定。道が5月にも遺族に謝罪へ
◾️首相批判封殺の波紋〈27〉──野次排除国賠・控訴審終結。原告側は「安倍政権こそ大迷惑」
■優生思想の罪、法廷へ〈10〉──札幌高裁、小島さんの訴え認める。国賠で逆転勝訴も国は上告
◾️道警不祥事から考える〈62〉──起訴の巡査部長が余罪で再逮捕。警部補の迷惑行為などは未発表
◾️児童デイの不適切な支援計画を道が容認? 職員の「つねり返し」を療育とした岩見沢の事業所

【ニュース】
■大成建設が起こした前代未聞の不良工事。精度不良で旧HBC本社跡地で組んだ鉄骨を全撤去
■「提出拒否は裁量権の濫用」黙秘権侵害・私物“検閲”訴訟で札幌地裁が取り調べ映像の開示命令
■「村おこしへのチャレンジ」神恵内村長選で敗れた瀬尾氏が在住する泊村の村議選挙に挑戦
◾️百年記念塔解体差し止め訴訟で札幌地裁が「原告適格なし」と訴えを却下。原告は控訴へ

【経済】
●北海道信用保証協会の山谷吉宏 会長に訊く「肩代わりだけではなく企業の支援と再生こそ使命」

【地域】
●迎えた慟哭の日──。また消えた北海道の“血管”。留萌本線廃線で横山茂沼田町長が惜別の涙

【企業】
●北海道の暮らしはまるごとお任せ。コープさっぽろの新ポイント・ステージ制度がスタート

【介護】
●つしま医療福祉グループが豊平に地域包括ケアの拠点、特養「ノテ中の島」をオープン

【社会】
●「ひきこもり経験者」を初選出。レタポスの田中敦理事長が全国組織KHJの理事に就任

【長期連載】
●〝農と食〟北の大地から──農業経済学者・鈴木宣弘さんが講演「食料危機前夜の有事に突入」
●ルポ「ひきこもり」(92)──道内各地の居場所事業が明暗を分けた理由(江別・苫小牧編)
●戦争遺産をめぐる旅(89)──かつての巨大要塞が人気の観光地になった和歌山県友ヶ島

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