旧札幌スポーツ館本店(札幌市中央区南3条西3丁目)の解体作業が始まっている。解体工事については後日、報じるが、今回は旧札幌スポーツ館本店に隣接した奇妙なビルについて紹介する。(写真は、高松伸氏設計による「TATOO」ビル)
このビルは現在、「Nexusビル」と命名されているが、建設されたのは1989年。日本のポストモダンを代表する建築家、高松伸氏の設計によるもの。ビル名(作品名)は「TATOO」(タトゥー)で、アパレルのファイブフォックス(本社・東京都渋谷区)北海道支店として建設された。
ファイブフォックスは、「コムサ・デ・モード」の直営1号店を札幌で出店するなど北海道との関係も深い。現在は、「コムサイズム」や「コムサプラチナ」、「コムサステージ」、「プレシャスマイルド」など全国で496店舗(2022年4月末現在)を展開、そのうち北海道では24店舗を展開している。
ファイブフォックス北海道支店として使われたビルだったが、2020年4月にサッシやガラス、網戸など窓周りの総合プランニング会社、ビルセス(本社・札幌市北区)が土地建物を取得した。現在は、不動産業のNexus(札幌市中央区)が入っており、ビル名もNexusビルに変わった。
土地面積は、わずかに約22坪(74・92㎡)。建物の間口は5mと狭いが、5階建て。外観は黒と銀色、外壁には球面ガラスが嵌め込まれており、角のように突き出した2本の光塔が特徴的。札幌の中心部で、これほど前衛的なビルは他にはないが、言うところのペンシルビルに近く、街なかの芸術作品のようなビルに気づく人は少ない。折しも、隣接する旧札幌スポーツ館本店の解体が始まり、期せずして注目を集めるようになっている。