札幌証券取引所は8月23日、北海道からクラウドビジネスを全国展開しているキットアライブ(本社・札幌市北区)のアンビシャス市場への上場を承認した。上場予定日は9月28日(水)。アンビシャス上場は、10社目(単独は8社目)で、札証では、2019年6月の日本グランデ(同・同)のアンビシャス上場以来の新規上場になる。(写真は、札証アンビシャス上場について会見するキットアライブ・嘉屋雄大社長と内田みさと取締役管理部長)
キットアライブは、セールスフォース・ジャパン(東京オフィス・東京都千代田区)のパートナーとして、米国セールスフォース(サンフランシスコ)が提供するクラウドサービス、「セールスフォース」を用いたシステム開発を行う目的で、2016年8月に設立された。企業や官公庁へのセールスフォース導入支援とセールスフォース製品開発支援が事業の柱。システム開発から保守まで、ITエンジニアがワンストップで対応しているのが特徴で、中小企業など小規模事業者向けが強い。顧客は、北海道をはじめ東北、東京、中国、九州の各地区に及んでいる。
2021年12月期の売上高は5億7700万円、経常利益は1億1600万円。2022年12月期は売上高6億9000万円、経常利益1億1400万円と前期比19・7%の増収、1・6%の経常減益を予想している。社員数は47人(従業員平均年齢32・4歳)。
発行済み株式数120万3000株(資本金約9300万円)で、上場に合わせて公募5万株のほか、既存株主が26万3000株の売り出しを行う。調達額は約6000万円を想定、調達資金は従業員募集費やコロナ後の在宅勤務と出社勤務の組み合わせに対応した本社改装費に充当する。監査法人は銀河(北海道事務所本部・札幌市中央区)、主幹事証券はアイザワ証券(本社・東京都港区)。VC(ベンチャーキャピタル)であるセールスフォースベンャーズは大株主から外れ、テラスカイ(東京本社・東京都中央区)は大株主を維持するが、キットアライブを連結対象から外す。
キットアライブの嘉屋雄大社長(46)は、転勤族だった北海道出身の両親の下、大阪で生まれたが6歳から北海道で過ごし、北海道大学卒業後にウイン・コンサル(本社・札幌市中央区)にシステムエンジニアとして入社。自他ともに認める北海道大好き人間。2007年、ウイン・コンサルが新規事業の社内募集を行った際、嘉屋氏はセールスフォース導入支援事業を提案、採択されてウイン・コンサル内で事業開始。2016年に事業の一部譲渡を受けて独立、キットアライブを設立した。
キットアライブの社名は、キタ・リブ(北に生きる)とアライブの造語で、ロゴマークには北極星も象っている。嘉屋社長は、アンビシャス上場について「当社の知名度向上を図るとともにセールスフォース事業についても広く知ってもらいたい。また、Iターン、Uターンを含めて札幌で積極採用を進め、北海道から日本のクラウドビジネスを支える企業として成長していきたい」と話した。