スガイディノス(本社・札幌市中央区)は5月30日、札幌地裁に民事再生法の適用を申請、経営破綻した。新生「スガイディノス」誕生から3年半、コロナ禍によってボウリング場やゲームセンター、映画館の来店客減が直撃した。帝国データバンク札幌支店によると、負債総額は約23億円。(写真は、2020年7月に復活した「サツゲキ」)
スガイディノスは1917年に歌舞伎やオペラ、サーカス、ジャズライブなどの公演を行う「札幌劇場」をルーツとしてスタート。戦後、1948年に松竹の封切館として再開。その後、ボウリングブームに乗り、札幌をはじめ道内外に15のボウリングセンターを造ったが、ブームは急速にしぼみ、15ボウリングセンターのうち12を閉鎖して、シネマや貸しビルに振り向けたこともあった。以降、スペースインベーダーゲームによるゲーム需要の拡大、ビリヤード人気、カラオケの普及など、エンターテインメントの変化に対応しながら同社も成長を続けた。
1995年に株式を上場してからは、大型小売店と提携した共同出店が続いたが、バブル崩壊の影響を受けてゲオと提携、ビデオレンタルやリサイクルに進出、2005年にゲオの完全子会社になった。2008年にはリーマンショックの影響を受け、ゲオのフィットネス事業やインターネットカフェ事業を譲り受け、ゲオディノス(当時の社名)のフィットネス事業がゲーム事業を抜き一番の稼ぎ頭となる。それを受け、2014年には当時の健康コーポレーション(現RIZAP)グループに入って「SDエンターテイメント」に社名変更。しかし2018年に、シナジー効果がない子会社は切り離すことになり、北海道の地場ファンド、北海道SOキャピタルが全株を引き受け、2018年12月に現在の「スガイディノス」がスタートを切った。
スタート早々の2019年6月には創業の地であり本拠地だった「スガイディノス札幌中央店」を閉館、多難なスタートなった。2020年7月に札幌中心部に「サツゲキ」を復活させたもののコロナ禍が経営を揺さぶり、ゲームセンター、シネマ、ボウリングの3本柱を直撃。2019年11月期(11ヵ月の変則決算)は、約35億円の売り上げがあったが、2021年11月期は約25億円の売り上げに減少した。ボウリング場の来場者は2019年より半減の状態が続いていた。同社は、テナント料の値下げ交渉や人件費を圧縮。一部テナント料の値下げにより閉鎖を免れたボウリング場もあったが、業績低下に歯止めがかからなかった。
負債額は約23億円でりそな銀行や商工中金、日本政策金融公庫などが金融債務を持っている。同社は、スポンサー企業との交渉を進めており、各施設の営業は継続、従業員約100人の雇用も維持される。