ゆったりと寛げるラウンジに、ふかふかのベッドが備えられた寝室。白い花々と大理石が輝く祭壇もある。こう聞くとまるで教会が併設されたホテルのようだが、実は新しくオープンした斎場。生活協同組合コープさっぽろが20日、直営の斎場「フリエホールつきさむ」(札幌市豊平区月寒中央通10丁目195―6、国道36号線沿い)をオープンした。(写真左は小ホール、右はラウンジ)
同組合は、96年から葬儀の斡旋事業を行ってきたが、組合員のサービス向上のため2年前から葬儀事業の直営化を決め、札幌地区における直営ホールの開業準備を進めてきた。
改装工事期間は7月から2ヵ月間。改装費と設備を含めた総工費は約6億円。延床面積(総床面積)は約2100坪。
大きな特徴としては、家族葬を中心に9ホールを備えていることと、ホール内厨房で出来立ての料理を提供すること。ホールは10人未満のミニホールから30~60人収容の小ホール、50~100人収容の中ホール、150人まで収容可能な大ホールまで、家族葬や友人葬など昨今の様々なニーズに応えている。ホールにはそれぞれ、「花」や「雪」、「澄光」などの名前がつけられ、それらの名前をイメージした祭壇がつくられ、ホールのデザインは全て異なる。また、どんな宗教にも対応できるつくりになっている。デザイナーはアトリエテンマの長谷川演社長。すすきのの飲食店を中心にデザインを行ってきたが、葬儀場は初めて。「固定概念がないためどこにもない斬新なデザインになっている」とフリエ事業部事業部長の佐々木幹夫氏。
小~大ホールのすべてにリビングや和室、ベッドルームなどが併設され、遠方からきた人が宿泊できるツインルームも3室ある。
料理にも力を入れ、コーディネータを招き豊富なメニューを揃える。ホテルの元料理長が出来立ての料理を提供、スイーツなどのオプションメニューもある。
価格は20万から165万円までの7プランを用意。30万円までのプランを除き、食事、会葬品、納棺など通常別料金になる部分をすべて含み、プランに何が含まれ、いくらかかるかわかりやすい料金体系にしたのも特徴。ただし、プランには僧侶の読経や戒名など宗教関係のものは含まれていない。
国道36号線沿いの喧騒の中にあってホテルのようなゆったりとした佇まいの斎場は注目を集めそうだが、葬儀業界への新規参入は難しい。佐々木氏は、「札幌を中心に展開していきたい。コープ組合員は全道にいるが当面、地方は委託して事業を続ける。来年度は350件の葬儀を目標にして、3年以内に年間500件を突破したい」と語る。