北海道初の駅ビル「札幌エスタ」2023年解体へ、JR札幌駅前は工事モード全開に

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 JR北海道(本社・札幌市中央区)と札幌駅総合開発(同・同)は10日、札幌駅交流拠点北5西1・西2地区市街再開発事業に伴い「札幌エスタ」(北5西2)を2023年夏に閉店すると発表した。札幌駅直結の商業施設としては2022年10月から駅改修のため「パセオ」も長期間閉店することになっており、駅前は工事モード全開になる。(写真は、2023年夏に閉館が決まった「札幌エスタ」)

 札幌駅に隣接する北5西1・西2地区では、北海道新幹線札幌開業や2030年の札幌冬季オリンピック・パラリンピック招致を見据えて、「世界へつながる“さっぽろ”の新たな顔づくり」に相応しい駅前開発を実現するため、市街地再開発準備組合(理事長・吉岡亨札幌市副市長)が新ビル建設に向けた検討を進めている。同準備組合では、このほど2023年秋に本体工事着手を目指すことになったため、「エスタ」を閉店、解体を決めた。

「エスタ」は、1978年9月、バスターミナル直結の商業施設として「札幌そごう」をキーテナントに開業。「エスタ」はスペイン語のエスタシオン=駅・季節の意に由来している。北海道初の駅ビル開業で、ファッションビルに相応しい名前を付けようと愛称名を募り、応募数3000余りの候補の中から選ばれたネーミング。2000年には「札幌そごう」の撤退など紆余曲折があったが、開業から40年以上にわたって、衣食住のすべてのニーズに応えられる商業施設として親しまれてきた。

 施設は、地下3階、地上11階で延べ床面積は約2万6236坪(約8万6582㎡)、ショップ数は113店舗(2021年3月末)、内訳は物販71店舗、飲食36店舗、サービス6店舗。ショップ売上高は約146億円(同)。なお、ショップ数とショップ売上高には「ビックカメラ札幌店」は含まれていない。

 同準備組合では、「エスタ」閉店後に解体工事と新ビル本体工事に着手、2029年春に開業を予定しているが、2028年度中の早期開業も検討している。なお、「エスタ」1階のバスターミナルについても、再開発事業の本体工事に伴い閉鎖予定。閉鎖時期や閉鎖期間中の取り扱いなど詳細は未定。

 駅前では「パセオ」の長期休業、「エスタ」の閉館で少なくとも6年間はテナントの行く場がなくなる。既存の「札幌ステラプレイス」、「アピア」は新幹線工事などの影響を受けずに営業を継続するが、駅前ゾーンでのテナントキャパシティは限られる。大通地区でも「4丁目プラザ」の2022年1月閉館が決まっており、今後はテナントの出店場所確保が大きな課題になりそうだ。

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