親会社と子会社が異なる発表をしたことで混乱が広がっている。JR札幌駅の商業施設「パセオ」を巡る発表である。親会社のJR北海道が「休館」を発表すると、数日後には子会社が「営業終了」を発表する。一体、どっちが本当なのか。(写真は、新幹線に関連する工事が始まっているJR札幌駅)

 JR札幌駅の1階と地下1階の「パセオ」は、駅の高架化に合わせて1989年7月に第一次開業し、90年11月に全面開業した。「パセオ」の名称は、スペイン語の「散歩道」に由来し、地下には石畳の通路も配置、縦横に伸びる小道のような通路も施設の個性を際立たせている。
 2003年には「大丸札幌店」や「ステラプレイス」、オフィスビルなどのJRタワーが開業、「パセオ」、「ステラプレイス」、「アピア」、「エスタ」はJR子会社が運営する商業施設として一段と厚みを増した。10年は「パセオ」開業20周年ということで1年半にわたる大規模リニューアルを実施、今年は開業30周年の節目の年となるが、駅チカのショッピングセンターとしての「パセオ」は色褪せていない。

 そんな中、JR北海道(本社・札幌市中央区)は3月10日、30年度の北海道新幹線札幌駅開業に向けて高架橋や乗り換え跨線橋、在来線高架橋耐震補強のため、「パセオ」を22年秋に「休館」、休館期間は3~6年程度になると発表した。

 ところが、19日に「パセオ」を運営する子会社の札幌駅総合開発(同・札幌市北区)が、「営業終了」を発表する。新幹線高架橋建設工事や耐震補強工事などによって22年12月以降は、パセオ施設全域で工事の影響を受けるため、営業継続は困難と判断したとしている。

「休館」と「営業終了」では全く意味が異なってくる。「休館」なら数年後とはいえ、「営業再開」が期待できるし、「営業終了」なら文字通り「閉館」ということ。それとも、親会社の発表から数日後にそれを覆すような問題が発覚したのだろうか。いずれにしても混乱するのは利用客であり、「パセオ」内193のショップ。不採算路線の廃止問題で丁寧な説明を進めてきたJR北海道、「パセオ」についても丁寧な説明が不可欠だ。


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