円山動物園再開1日前に苦渋の閉店「セブンーイレブン札幌円山動物園店」

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 店頭には枯れ葉が舞い、もう何年も前から閉店しているような佇まいを見せるコンビニ。小雨が降る曇天の午後、店舗周辺で葉を落としていく木々がもの寂しさをかきたてる。閉店からわずか2日、季節の早い足取りが以前の賑わいを、より遠くへと押しやっている。(写真は、2021年9月30日に閉店した「セブンーイレブン札幌円山動物園店」)

 動物園に出店した日本初のコンビニとして注目された「セブンーイレブン札幌円山動物園店」(札幌市中央区宮ヶ丘3番地1)。10月1日の札幌市円山動物園営業再開日を待たず閉店した。同店は、円山動物園の公募によりセブンーイレブン・ジャパン(現・セブン&アイ、ホールディングス、本社・東京都千代田区)が直営で2008年7月30日に開店した店舗。エコロジーや周囲の景観への配慮に加え、動物園の内外から出入りできるようにして、来園者だけでなく地域の住民も利用できるようになっていた。店頭に休憩スペースやウッドデッキの遊歩道、外部通路への点字ブロック、車椅子で利用できるトイレなどを設置。24時間営業で、店舗面積は約68・5坪、酒やたばこも販売していた。

 オープン時は、開店記念として道内のセブンーイレブン店舗で「白いくまちゃんプリン」を販売、セブンーイレブン・ジャパンが電子マネーnanacoにちなんでキリンの「ナナコ」を贈与(2015年に死去)するなど、日本初の動物園内出店として地域貢献を強く打ち出した。

 オープンから13年、コロナによって日常が失われると状況は一変。円山動物園も昨年来、臨時休園を繰り返し、直近も緊急事態宣言に伴い8月28日から9月30日の間、臨時休園していた。そしてようやく宣言解除で、10月1日から上限5000人の予約制で営業を再開。しかし、その前日、「セブンーイレブン札幌円山動物園店」は再び賑わうことなく営業を終了した。休園による売り上げ減少が大きく響いた。円山動物園は、年内にも後継事業者を募るという。コロナが変える風景に心がささくれ立つ。

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