アイン大谷喜一社長が語る赤裸々な失敗談、北海道経営未来塾で傲慢さに戒め

経済総合

 北海道経営未来塾(実行委員会主催)第6期の第1回講座が23日、札幌市中央区の札幌パークホテル1階のテラスルームで行われた。講師は、アインホールディングス(本社・札幌市白石区)の大谷喜一社長。テーマは、「成長への挑戦」。塾生35人が、大谷社長の体験談を熱心に聞き入った。以下、大谷社長の講演骨子を掲載する。(写真は、講演する大谷喜一社長)

「失敗をした時に、どんな考え方でそれをやったのか。私の場合は、よくこんな失敗をやったなと思うことばかり。こうなるはずだと思ってやったことは多くは、そうはならずに失敗する。そんなことばかりを繰り返してきた40年だ。たまたま成功したものが積み重なって今日がある」

「自分たちの基準でものごとを考えると大体失敗する。100億円企業の経営者は、1000億円企業の経営者のことは分からない。3000億円企業になると5000億円企業の経営者が何を考えているかは、大体わかるが1兆円企業のことは、やはり理解できない。それなのにこうなってほしいという願望を持って投資をしてしまうので、必ずしも正しい判断にはならない。大概間違っていると思った方が良い」

「1994年の店頭公開の際に、ベンチャーキャピタルのジャフコからも資金調達をしたが、当時ジャフコ社長だった今原禎治さんから、『経営者はお金がある時の方がリスクは高い。有効に使えばいいが大体失敗する。気をつけなさいよ』と言われた。私は、『失敗はしませんよ』と答えたが、心底では『自分は失敗した先輩経営者たちとは違うんだ』と思っていた。そうは言ったものの、やはり失敗した。今原さんの言葉が後々、身に染みた。公開すると、今までは桁が違うお金が入ってくるので、あたかも自分が金持ちになった気分になる。とにかく使いたくなる。それで過剰投資に入っていく。私も完全に判断を間違えた」

「経営者には、堂々と傲慢に振る舞うタイプと僕のように本当は傲慢なのに、外には出さないタイプがいる。でも、結果は同じ。人の言うことを聞かず、他社の失敗の歴史をしっかりと認識しない。だから必ず失敗するパターンに陥る。成功から生まれる傲慢から逃れることは難しい。皆さんも必ずそうなる。株式を上場した経営者は全員そうなった。一人としてそうならなかった人間はいなかった。ドカンと大きな失敗をするか、失敗を連鎖させるかのどちらかだ。立ち直るにはよほどの努力が必要になる」

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