ニトリの島忠TOB成立、集団美のDCMに勝った個人美の企業カラー

流通

 北海道発の家具・インテリア量販最大手のニトリホールディングス(札幌本社・札幌市北区)と北海道発祥の流れを汲むホームセンター、DCMホールディングス(本社・東京都品川区)が、ホームセンターの島忠(同・さいたま市中央区)TOB(株式公開買い付け)で競っていた買収合戦は、ニトリHDの勝利で決着した。(写真は、ニトリHD札幌本社が入っている「ニトリ麻生店」)

 ニトリHDは29日、11月16日より12月28日まで実施していた島忠TOBに関して、予定買い付け株数である全3895万5187株に対して、3000万9772株の応募があり、成立条件としていた50%(1947年7600株)を上回る77・04%になったことを明らかにし、株式買い付け決済開始日の21年1月6日に連結子会社にすると発表した。   
 DCMHDは、10月5日より12月11日までのTOB期間での応募が買い付け予定数の下限に対して応募数は0・16%にとどまり、12日にTOBの不成立を発表しており、ニトリHDの勝利で終わった。

 DCMHDと島忠は、相互に合意を得て1株4200円でTOBに入ったが、途中でニトリHDが参入。買い付け価格を1株5500円とした上、経営体制・従業員の雇用を5年間維持する条件を付けたことにより、島忠はDCMHDとの合意を破棄、ニトリHDに乗り換えてTOBに応じた。島忠の乗り換えに対してDCMHDは、TOB条件を変えずに続行、負け覚悟のTOBを続行した。

 ニトリHDは、2022年に売上高1兆円を目標にしている。似鳥昭雄会長は、11月に行われた札幌市内の講演で「島忠が買収出来たら1500億円増えるから、当社の7000億円と合わせれば8500億円。さらに1500億円の上乗せは、僕は可能だと思う」と話していた。TOB成立によって、この言葉はより一層現実味を帯び出した。

 ニトリHDは、似鳥会長の個性が反映した、いわば個人美の企業カラー。一方、DCMHDは北海道、中部、四国のホームセンターが寄り合った集団美の企業カラーと言える。それぞれに光もあれば影もある。今回、島忠TOB成立がニトリHDの個人美の光の部分とすれば、同時期に発覚した珪藻土バスマットのアスベスト混入問題は影の部分。初めての本格的M&Aは、ニトリHDの個人美をどう揺らすか。

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